四人の女-32
四人の女 第二部
小松清恵 25才
清恵は兵庫県の日本海側の漁村の漁師である。弟妹四人の長女で美人である。父親は漁師で背丈も高くがっしりとしたいい男である五十才になる現役の漁師であるが、網元の舟一艘を任されている雇われ漁師である。
清恵の母親も美人で、清恵の母親と結婚したとき村はもとより他村の男性も力を落として漁を休んだという伝説めいた話が残っている。
その美男美女の娘であるから、清恵を初め三人の娘は何れも美人で遠くの方まで知られている。
戦後近隣の村が合併して町となった。合併の中心となった村に江戸時代から続く大きな網元の家があり、漁だけでなく魚市場、魚の加工工場、旅館、風俗店と多方面に手を伸ばしている。
その一人息子が、清恵に目を付けた。両親を口説いて、中学卒業をして進学しないで働いている清恵を嫁にと頼んだ。
その息子が二十五才、清恵が十九歳の時に、舟一艘を買ってやるからと言う条件で清恵は嫁に行った。
清恵は、夫となるこの名士の一人息子の女性関係のだらしのないことは良く承知していたが、父が長年望んでいた舟持ち漁師の夢を叶えてやろう、と承諾して嫁いで行った。
清恵の苦難は結婚初夜からはじまった。男を知らない清恵は、怖さと、男女の仲の淡い繋がりを夢見て、旦那になった男の横にそっと入った。浜で働いているのだから漁師達や浜の女達が口にする男女の卑猥な行為は良く頭に入っていた。
「清恵、お前オレを嘗めてんのか・・・・・・・」
初めて男に身体を許す緊張している清恵に浴びせた新床の第一声である。とまどって返事が出来ない清恵の手を取ると自分股間にもっていき、固くなった物を触らせた。
「オレはパンツ穿いていない、お前は何だパンティー穿いて・・・・・」
起きあがって、、清恵の新しいピンクのパンティーを引き割いて、何の前戯も無しに乾いた清恵の膣にいきり立つペニスを突っ込んだ。激痛が走った、出血もした。
「処女か、これからおまえに色々と教えてやるよ。、楽しみにしていろよ」
男の腰の動きと重なって激痛が股間に走る。長い時間ではなかった。行為は終わって赤く染まったシーツに男の白い精液が清恵の股間からゆっくりと垂れて落ちた。
「奇麗にしろよ、お前の責任だから、シーツを取り帰させろ、フロントに電話して」
恥ずかしい初夜を経験して、それから毎日、男の要求が続いた。色々とセックステクニックをたたき込まれて、二年、女の子を産み、二番目の子供が妊娠三ヶ月の悪阻で苦しむ最中に、清恵は追い出されて実家に帰された。
結婚の約束の新しい舟はまだ出来ていない。里に帰された理由ははっきりしないが、清恵は、夫に新しい女が出来て子供が腹にある、良家の娘で清恵と一つ違いの女である、と言うことは承知している。多額の金を持参して仲人に立った人が、謝りに来た。
清恵は男の子を出産した。別れた夫は子供の認知はしてくれたが、金を清恵に渡して財産権の放棄を要求した。
下の子供が三歳になった年に、清恵は二人の子供を連れて上阪した、離婚して子供が二人いても清恵の美しさは衰えずますます女盛りに向かって艶がでてきた。浜の男達は放ってはいない、毎日毎日責めて来る男達に嫌気がさして上阪を決めた。
この街へ来たのは、かって友達が好い街だと言っていたからで、他に意味はない。駅前から繁華街へ足を踏み入れて、回春エステ ドリームの前に立ってエステシャン募集の張り紙を二人の子供の手を取って眺めていた。
「うちで働きたいの、子供がいても大丈夫よ」
奇麗な優しそうな女に声を掛けられた。
「働けるのですか? 何にも知らないのですよ」
「大丈夫よ、私も素人から、ここで働いているんだから、子供さん、かわいいね、私も娘が一人いますの、中に入りましょう話だけは聞いてみなさい」
「 店長の浪江健三さん、・・・・働きたいんだって」
「そうですか、奇麗な方だし、瑠璃さんみたいにスタイルが良いし。お名前とお歳は?」
「小松清恵と申します。二人の子持ちです。二十四歳になります」
「どちらからお出でですか」
「兵庫県の日本海側の漁師の娘です」
「そうですか、がっちりとした身体をしておられる」
色々と話をして働くことに決めると、
「私は瀬戸瑠璃二十八才です、よろしくね。今晩は安いホテルを予約して、子供さんは保育園が近くにあるから、日払いの保育料は高いけれども預けて、店で働いてみたら」
「出来ればそうしたいです」
「ホテルは、私達がよく使う安いホテルがあるから、そこへ行きましょう。荷物を置いて、それから食事をして」
瑠璃が段取りをして、清恵は子供を保育園に預けて店に入った。瑠璃が一人目の指名客に頼んで、清恵と二人で担当をして、接客の初歩を教えてくれた。清恵は二年間の夫婦生活で夫から仕込まれたセックスのテクニックを使えばよいのだと知り、二人目からは一人で接客が出来ると自信がついた。
「瑠璃さん、清恵さん一人でいけそう? お客さんが多いんだよ、みんな指名だろう。フリーを一人お願いするよ」
「大丈夫、私より男をよく知っているよ」
「清恵さん、一人で行けるかな、今日はお客さんが多くて、みんな指名で」
「大丈夫です、何号室ですか」
「三階の十号室、学生さんではないかな」