あなたは調教士(34)-1
歳いって、ミドリと同じくらい。おそらく、少し年下だろう‥‥。
(こんな可憐なお姫さまが、オイオほかこの
スガーニーのボスも、もしかしたら女性なのかもと、あなたも思ってはいた。が、そうであっても、なんというか、もっと「女帝」のような悪辣な女だろうと想像していた。ナディーカという少女、いやお姫さまは、胸のほうは、やはり例に洩れず豊かだった。とはいえ、先のリリアやルリアと較べると、この世界では、まあ普通サイズといえた。
「この鎧は‥‥。スガーニーの軍隊は、こんな格好なのか」
あなたは、もうひとりの大柄な女について尋ねた。甲冑だけでなく、軽く二メートル以上はある巨大な斧まで手にしている。そしてその胸は‥‥女の甲冑の胸の部分が、あなたの気にかかった。
「ああ、やはり『鎧』でいいのか‥‥。いや、こんな姿は初めて見る。
ルリアの話では、スガーニーの軍式にこんな鎧はなく、これはおそらく撮影用ではないかということだった。――あなたの注意を引いたその甲冑の大きな胸の部分は鋲が打たれ、金属のように見える材質でしっかりと造られているようだったが、
「観賞用に、わざわざこういう造りにしたのかもしれない。――おそらく、あの調教士が造らせたのだろう」
ルリアの言葉に、あなたはそうなのかと思いつつ、憤慨していた。
つまり、コスプレ写真なのだ、これは。こっちでは、調教に苦労して、苦悩していたというのに、向こうではこんなものまで作って、女に着せて、楽しんでいるのだ!
あなたの内に、あらためてあのスガーニーの
ルリアの話では、このジェニファーという女はナディーカ姫の側近かつスガーニーの高位の軍人で、星系中にその悪名は轟いているという。この女やあのナディーカ姫は勝負に参加はしないだろうが、いずれはこのふたりもあの黒調教士の手から奪い取り、調教してやる‥‥。
ジェニファーという女は、甲冑通りだとすれば、この世界の女の例に洩れず、やはりおっぱいは大きいのだろう。たっぷりしっかり、揉みごたえがありそうだ。そして軍人というからには、このルリアやミドリのように鍛えられた肢体の持ち主だろう。
可憐なナディーカ姫のほうは、ドレスの下に拘束ブラをつけているのかもしれないが、この世界で知った女にしては、バストサイズは普通に見えた。向こうの王宮の。しかも最高指導者だというのに‥‥。
(ようし、恥ずかしくないように、たっぷり揉み込んで大きくしてやる――)
リリア・ザ・パーフェクト、ナディーカ姫、女軍人ジェニファー。
あなたは、スガーニーで待ち受ける女たちの姿を思い浮かべた。そしてまた、彼女らのおっぱいを我が物にしているであろう黒調教士のことを考え、闘志を燃やしたのだった。
あなたが、ここがどこなのかを知ったのは、ジャニスさんから始まるこの一連の調教が開始される日の、前夜だった。
そのとき、何やら書き物を始めたというミドリがやってきて、あなたを、外界が大きく見渡せる王宮の展望室に連れて行ってくれたのだった。
灯を落としたその円形の展望室の天空に煌いていた無数の――文字通り無限とも思える数の――星々は、あなたが地球上で見たこともない、想像をはるかに超える美しい
時代は――一〇三××年というのが西暦と連続しているらしいということは、ここのネットや資料にあたるうちに気がついていた。ここは、あなたが元いた世界の、はるかな未来だったのだ。
(地球は、どうなっているんだろう‥‥)
このオイオ星から、現在は連絡が途絶えているようだった。あなたのそのオイオでの日々は、終わろうとしていた。いま、ルリアの頭越しに見える宇宙空間に、決戦の場所となるスガーニー星――ジェスガーニーメデ(Jthganymede)――が浮かんでいるかどうかは、不慣れなあなたにはわからなかった。
オイオとスガーニー。未来の世界の二衛星国家間の対決の、あなたは一方の当事者になっていた。ルリアらが言うとおり、事実上この星系の命運を決めることになる‥‥。
オイオのほうが、あなたの地球時代の元の名前を色濃く残していた。この時代から見てかつては、「ジョイオ(Joio)」と呼ばれていたそうだ。
現在でも、天体としての正式名称は元のままらしい。ジュピター・ワン・イオ(Jupiter One Io)。
「ジェスガーニーメデ」のほうも、この「ジョイオ」と同じ、かつての名、古名だ。正式名称は、ジュピター・スリー・ガニメデ(Jupiter Three Ganymede)。
空間フィルムは、努力して凝視しないと肉眼では捉えにくく作られており、ほとんど意識することはない。見上げる
惑星表面の印象的な模様はガス嵐らしいが、あなたの時代と違っているかどうかまでは、あなたの知識にはない――この時代でもあなたの時代と同じ名で呼ばれている、この星系の母星「