クリスマスの夜に-7
「ん……んっ……」
「だめだよ、そんな可愛い声出したら……僕、本当に我慢できなくなるから」
長い長いキスが終わり、唇がマリの首筋へと滑り下りていく。
ぐるりと巻きつけていたマフラーが外され、舌先でうなじをなぞられる。
上から下へと移動していくぬるりとした感触に、背筋がびくんと震えた。
洋服の下で、肌が小さな期待にざわめく。
……だめ。
やっぱり達也とは、こんなことしちゃいけない。
だいたい、ここは外なのだ。
いつ誰に見られるかわからない。
湧き上がりつつある快感と理性がぶつかり合う。
マリは達也から手を離し、体を捩じって背を向けた。
「や、やめて」
「ええ? さっきはもっとしてほしそうだったのに」
後ろからマリを抱き締めたまま、達也がくすくすと呆れたように笑う。
余裕を感じさせる口ぶりに腹が立つ。
これではまるで、マリのほうが聞き分けのない子供になってしまったようだった。
「キ、キスだけなら、いいと思ったの。でも、こんな」
「マリちゃんが悪いんだよ? あんな声出して、僕のこと誘ったりするから」
「誘ってなんか、えっ、ちょっと」
両腕がまとめて後ろ側に引っ張られる。
ふわりと何かが巻きつく。
肩に引っ掛かっていたマフラーで、手首をぎっちりときつく縛られた。
背後から腰を抱かれたまま、コートの前ボタンがひとつひとつ外されていく。
何なの、これ。
公園のベンチで縛られて、脱がされようとしている。
とても現実のこととは思えなかった。
心臓が壊れそうな勢いで脈を打っている。
後ろにいるのは間違いなく達也なのに、見知らぬ男を相手にしているような気がして怖くなる。
「何の冗談? やめてよ、ほどいて」
「たしかに、いままでは不公平だったかもしれないね」
「だ、だから何なの」
「たまには、僕のわがままもきいてもらわなきゃ。ね、マリちゃん」
コートのボタンをすべて外し終えた達也が、広く開いたワンピースの胸元に右手を差し入れてきた。
氷のように冷たい指先が、下着を押しのけて乳房に直接触れてくる。
乳丘の形状をたしかめるようなやわやわとした動きに、ぞくっ、と産毛が逆立つ。
「だ、だめ、達也、もう帰ろうよ……」
「まだ帰さないよ。すごい柔らかいんだね、マリちゃんの胸、僕の指に吸いついてくるみたいだ」
ブラジャーのカップからすくい上げるように、裾野から中心に向かってやんわりと揉まれていく。
先端の突起をつうっと撫でられたとき、微弱な電流が末端神経から脊髄へピリピリと走り抜けていった。
背中がのけ反り、肩がビクンと震える。
触られていることの恥ずかしさからか、顔が熱くてたまらない。
指の間できゅうっと乳首を押しつぶされるたびに、ほの甘い感覚が乳腺から体の芯に向かって流れ込んでいく。
マリの反応を見ながら、達也はもう片方の乳房にも触れてきた。