私が結婚しない理由(わけ)-34
こうして渡井は加奈子を偲ぶ生活を続け、36年が過ぎていた...。
渡井自身は、世の中婚活、見合い、合コン、再婚、再々婚、シニア婚と流行る中、好きだった人をひたすら偲び独身でいることに後ろめたい気持ちより、むしろそんな自分を善しとしていた...。
また山口は現在、電鉄の社長になった..。乗客の減った路線に観光列車を走らせるなどして、なんとか黒字の営業を続けている。
また彼は新卒社員に接祖駅の駅員を研修の一貫として配置している..。乗客が少ない駅だが36年前あの大きな事故を起こした、得帯鉄橋へ入る手前の駅だからだ...。現在は得帯鉄橋付近は大幅に改修.補強工事がされ大雨等の際も頑丈にはなった。しかし彼は信号などの機械的な運行判断ではなく、人的にも判断を下し運行の是非を決めれるような鉄道マンになって貰いたいという彼の願いから新人駅員をベテラン駅員と共に配置している...。