私が結婚しない理由(わけ)-32
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暫くして、大勢の救援隊が来た。消防団やら警察、保線作業員達...。土砂をどける重機なども投入された。
-死者2名、重軽傷者5名...。
電鉄社史にも残る大きな事故となった。死者は、運転士とそのすぐ後ろにいた加奈子であった。
収用された病院の霊安室で加奈子の遺体に対面したイトと幸造夫婦..。悲しみで泣き叫ぶ二人の姿を渡井は忘れることはできない。渡井自身も悲しみから自然と涙を流す日が続いた。
電車は復旧するまで、東得帯駅止まりになり、折り返し運転になった。接祖駅は電車の来ない駅になった。
渡井は電鉄本社総務部への異動を命じられた。旅館岩倉の下宿を引き払い、泉津の実家に戻り本社へ通勤した。駅員の頃とは違い不規則勤務ではなく、朝8時から夕5時まで普通のサラリーマンの様な生活になり、机に向かい書類を処理した。