私が結婚しない理由(わけ)-3
-今、大先生〜!?。て彼女は言った。
俺が本を世に出している事、彼女は知ってるのか〜!?。自分の口から彼女に一度も本を出した話はしていない...。しかも、あんな英文字のふざけたペンネームが=俺と分かるのか..?誰かに聞いたのか..?
-渡井は少し疑問に思ったのか、彼女にそれとなく今日の行動を話して探りを入れた。
「あんなあ、おばさん、今日、墓行く前に得帯鉄橋のとこ、近くに車を停めてさ、そこら散策したんよー。」
イトは少し呆れた顔をして
「まだあ んたは、36年前の加奈子の長靴探してるんかい!アホか、あるわけないじゃろに、まあ、わしもあそこを車で通りよる時、少し車を停めとるがね...。」
彼女は少し寂しげな顔をし、居間奥の仏間に目を写し、仏壇の上に飾ってある白黒写真、泉高夏用制服姿で写る綺麗な美少女の遺影を見つめた...。
遺影の主は岩倉加奈子享年17歳...。36年前、得帯鉄橋が大雨で流れた際、電車に乗っていて死亡した一人だ...。
渡井も冷えたビールをイトのグラスに注いだあと、美少女の遺影を見つめた。イトは俺の本をどこかで手に入れ秘かに読んでいる。渡井はそう確信した。