ルームメイト-9
「いい……いいぞ……」
うわ言のように呟きながら、ゆっくりとした律動は徐々に早く、激しくなっていく。
半ばまで抜かれた肉柱がまた入る激痛は、侵入されたときに劣らない激痛だった。
身体を折り曲げられることによる胸部の圧迫も相俟って、突く度にナオキは悲鳴をあげていたが、
「うぐッ……あうッ………あッ、あぐッ……」
抽送が早まるにつれ、その間隔も短くなっていく。
「おッ、おうッ、おおうッ……」
再びがっしりとした両手で組み伏せた相手の肩を掴み、動かないよう固定しているアキオもまた、荒い呼吸を咆哮にかえていた。
一方の強引な欲情によって結合と分離を繰り返す大小ふたつの肉体は、まるで大が小を補食し貪っているかのようだった。
事実として今のナオキは、自分の意思とは関係なく、相手の歪んだ性欲を充たすためだけに存在させられている。
「こ、壊れる………」
呼吸すら儘ならないナオキは、息も絶え絶えに訴えた。
だがアキオは、今や打ちつけるように激しくなった反復をやめようとはしなかった。
あまりに無我夢中で耳朶にも届いていないのだろう。
「はッ、はッ、はッ、はッ、はッ……」
と、狂ったように腰を叩きつける動きに伴い、呼吸が連続音になっていく。
「ああッ、あくうッ……やめて、壊れ……壊れる……」
「お、おお……イク……イクぞ……」
悪夢のように暴虐の果てに、ついにその獣の情欲は、ようやく充たされる時を迎えようとしていた。
「うッ……!」
最後にひときわ激しく腰を突き込むと全身をブルッと震わせて、ひとり身勝手な快感に浸る。
「おお……お……」
ナオキの心と身体をズタズタに引き裂きながら、残酷な儀式は最後の局面を迎えようとしていた。