ルームメイト-4
乳首に絡みつくぬめった唇の、身震いするほどのおぞましさ。
歯をあてられ、指で捻り、引っ張り、撫でまわされる痛み。
どうにか逃れようと身をくねらせるが、ひと回り以上も体格が違う上に、腕力そのものにも絶望的な差がある。
必死で僅かに身体をずらしても、すぐに元の姿勢に戻されて、引き続き敏感なふたつの突起を苛まれるのだった。
やがてその敏感な部分が、ある反応を見せはじめてしまう。
「た、勃ってきた……」
と、アキオがうわ言のように言って、目を見張った。
ナオキは耳まで真っ赤にして、
「弄ると勝手に……たつんだよ………」
と悔しそうに言い返したが、もう相手は聞いていなかった。ただ、
「はァ……はァ……」
という獣の唸り声にも似た荒い息遣いを発するのみである。
しかし理性をかなぐり捨てて相手を貪ろうとするその姿は、言葉よりも雄弁に彼を内側から突き動かしている情欲を物語っていた。
いま、そこにいるのは二人の少年などではなかった。
情欲の赴くままに獲物を貪る獣と、その前に捧げられ抵抗もできずに貪られようとしている生贄だった。
「お願い、お願いだから、やめ……」
だが懇願も虚しく、アキオを支配下においた獣性は、下半身に関心を向けようとしていた。
ようやく乳首を開放すると、ウエストの辺りを締めていたスウェットパンツの腰ひもを解き、できた隙間に片腕を捩じ込もうとしている。
「や、やめてくれえ!」
ナオキは叫び、身をよじった。
だが、相手が抵抗と認識しうるほどの抵抗もできない現実を、またも思い知らされただけだった。
腰の辺りから差し込まれた腕は、華奢な身体では比較的ふくよかな部分にあたる臀部に到達した。
肉厚の唇は依然として上半身を這いまわり、そこらじゅうを唾液まみれにしている。
それとはまた別の生き物のように、アキオの骨ばった手は下着の内側に潜り込み、すべすべと滑らかな素肌を撫でまわしていた。
丸みを帯びたシルエット、弾力があるふたつの隆起、その谷間にある割れ目の渓谷……感触だけでそれを確かめようとするように、手は幾度も下着の内側を周回し、時には隆起した柔肉を鷲掴みにしたりした。
ナオキは唇を噛んだまま、沸き上がる屈辱と嫌悪感とに耐えるしかなかった。