おっさんの純愛-6
そして、その表情はキャラの目の前でサァっと青ざめた。
そうだった……キャラはお姫様身分のくせに武器コレクションが趣味。
普通の女性が何を好むのかなど……アドバイス出来る筈もない。
「ぬう……っ儂とした事が……うかつだった」
ガックリと項垂れ頭を抱えるスオウ。
「そこまで落ち込まれると腹立つな」
キャラは憮然とした後、ふわっと微笑んだ。
「ま、アレですよ。団長がミウさんに似合うなぁとか、そんなんで良いと思いますよ?」
「む」
「意外と女って単純なんですから」
パチンとウィンクして見せるキャラに、スオウは自分で考えるしかないかと諦め、途端に頭の中で様々な贈り物が目まぐるしく動き出した。
それから数日たったある日、昼食後に食堂裏の広場を覗くキャラとアースの姿があった。
今日がミウの誕生日なのだ。
広場には小さい鉢植えを持ってソワソワしているスオウが居る。
「結局、花かよ」
「まあ、無難だな」
鉢植えの植物は『雪光草』といって雪が降る寒い夜に花が咲くのだが、その花がほんのりと光るのだ。
スオウにしては中々のチョイスだ。
「お」
そこにミウがいつもの様にやってきて、お菓子の入った紙袋を渡す。
スオウは片手でそれを受け取ると、入れ替える様に鉢植えを持った反対の手を出した。
ミウはそれを見ると目を真ん丸に見開く。
スオウは頭から湯気を立てながら言い訳するように何かを伝え、それを聞いたミウの顔が満面の笑顔に変わり、スオウの首に両手で抱きついた。
「おぉ」
ミウの大胆な行動にキャラは感嘆の声をもらし、アースは小さく口笛を吹く。
スオウはというと右手に紙袋、左手に鉢植えを持ったまま岩の様に固まっている。
「軽く抱き返すとかすりゃあ良いのにな。やっぱ、ダンナ亡くしたばっかの女にゃ手ぇ出し難いか」
ため息まじりに言うアースに、キャラはチッチッチッと指を振ってみせた。
「それがさ、ミウさんって独身なんだと」
寝耳に水な話にアースは目をパチパチさせる。
「は?娘居るよな?」
この間の会話で『娘も学校に慣れた』と話ていた気がするが?
とアースは首を捻った。