やって来た女の子-2
「お邪魔します」
彼女はおずおずと部屋に入ってきた。
「そこの座布団に座って。何か飲む?」
「……いえ。お気遣いなく」
「そう?」
島本が座ると、俺も彼女の正面に腰を下ろした。
「何か恥ずかしいことを知られちゃったな」
「私こそ」
「島本も知ってるとおり、うちの会社の給料安いだろう。だから、なかなか風俗とかに行けなくて」
お金のせいにして何となく下着フェチであることをごまかす。ちなみに<ほかほかパンティ>の場合、いろいろなオプションがあるが、基本はパンティ一枚一万円だ。
「島本は何でこんな仕事をしてるの?」
答えにくい質問かと思ったが、彼女も自分を正当化したかったのだろう、訥々とした感じで理由を話し始めた。
「……私、借金があるんです。つき合ってた人の借金の保証人になってしまって、彼は逃げて行方不明で」
「そうなの?」
会社で、いつも明るくふるまっている島本由美にこんな事情があったなんて、まったく知らなかった。
「はい。私、お酒を飲めないのでキャバクラとかは無理ですし、体を売るのは抵抗があって。でも同じことですよね、下着を売るのも。軽蔑なさったでしょう、鈴木さん」
「そんなことないよ。悪いのは借金を押しつけて逃げた男だ。で、借金はいくらあるの? 俺ができる範囲で貸すよ。俺が貸す金くらいじゃ何の助けにもならないと思うけど」
「……ありがとうございます。でも、鈴木さんにご迷惑をかけるわけにはいきませんから」
「いや、こうやって話をしたのも何かの縁だと思うし」
俺はどーしようもないスケベだが、他人の不幸を放っておけない面もある。
「やっぱり鈴木さんってやさしいですね。私、新入社員の時、鈴木さんがいろいろ助けてくれたのを覚えているんですよ。でも、お気持ちだけいただいておきます」
新入社員の時、いろいろ助けたのは下心があったからだ。
「あの……、下着ですよね」
境遇の話に気を取られていて、すっかり忘れていた。
カッコつけたかったこともあり、必死に無理をする。
「いや、いいよ」
「いえ、私、稼がなくちゃいけませんから。私のでよければ買って下さい」
島本は立ち上がると、スカートの中に手を入れた。
恥ずかしさで少しためらったが、グッと腕に力を入れると、するするとピンクの布地が降りてきた。
「!!」
思わず唾を飲み込む。
パンティは薄いピンクで、白のリボンやフリルが施された可愛らしいものだった。
体は正直で下のジャージの中が熱く硬くなる。それを覚られまいと足を立てて隠す。
島本はパンティを足首から抜くと、丁寧にたたんで手渡した。
脱ぎたてのパンティの温かさが手のひらに伝わった。すぐにでも中を確かめ、匂いを嗅ぎたい。だが、会社の先輩としてそれは出来ない。
「やっぱり知り合いだと、恥ずかしいですね……」
島本の顔は真っ赤だ。そして、自分の下着を使って男が何をするかを知っている。
「ごめんなさい。私がいたんじゃ何もできないですよね」
と、あわててバッグを持って部屋を出ていこうとした。
「待って」
俺は呼び止めた。
「お金、払ってないから」
「……あ、そうですね」
彼女はかなり動転していた。おそらく、この恥ずかしい状況から一刻も早く逃げ出したかったのだろう。
俺はバッグから財布を取り出した。
金額は1万円。島本のパンティなら安すぎるくらいだ。
ここで<ほかほかパンティ>にはさまざまなオプションがあることを思い出した。
たとえば、ここで3千円を追加すれば、オマ×コを見せてくれる。1万円を追加すれば、フェラサービス。このオプションの許容範囲は女の子によって違うのだが、島本はどれくらいまでOKなのだろう。
「島本、オプションなんだけど……」
「え……」島本の顔に動揺が走った。
「君のを見てみたい」
何度も島本でオナニーしている俺としては当然の思いだ。コピーを取っている後ろ姿を見て、タイトスカートに包まれたむっちりした尻に息をのんだこともある。
「あの……、その……」
困惑で島本の目が左右に動いた。