階段の人妻-1
カタンッカタンッカタン。
…――――きたっ!!!!!!
すぐさまカモフラージュ用の携帯から目をそらす。
とくん…―とくん…―。
と、早まる心臓。
履き慣れたジーンズの中ではぺ○スが期待を抱き、大きく存在を膨らませてゆく。
そこは世田谷の住宅街の中でも少々目立つような大きめの一軒家。
よく手入れされた芝生の庭には愛犬用の犬小屋がおかれ、窓には清潔そうな白のレースカーテンが揺れていた。
二階のベランダからは珍しい鉄製の螺旋階段が屋上へと続き、日当たりが良さそうな屋上ではガーデニングをしているらしい。
時々聞こえてくるつっかえつっかえの子供のピアノの音や、手製クッキーを焼く香り、夜には家族の談笑が聞こえる、そんな理想的な家族の住まいだった。
ただー…。
ただ一つだけ違うのは。
(奥さんが痴女って事だ。)
亮太がそれに気づいたのは2ヶ月ほど前の事になる。
その日亮太は履修しなければならない講義が三限目からからあったので、少しゆっくり目の登校をしていた。
下北沢の駅に向い歩いていたちょうどその時、亮太の上の方から階段を登るようなサンダルの音がした。
…――カタンカタンカタン。
何気なく音につられて、ふと顔を見上げた時だった。
ふわり。
…―急に吹いた風に真っ白なフレアスカートが大胆にひらめき、奥さんの臀部には紐でできたようなの真っ赤なショーツが見えた。
亮太と奥さんの間は5〜6メーターの差があったし、なにより数秒の事だったので幾分曖昧だが、それは確実にそこらで売っているモノではなく…いわゆる……大人のオモチャ屋に売られるような、かなりキワドイものだったのだ。
予期しなかった事態に、亮太があっけに取られ動けないでいると、螺旋階段の途中にいる奥さんと目があってしまった。
きれいな茶色に染められたセミロングの髪に、ピンクベージュでまとめられているナチュラルなメイク。至って普通の主婦のようであるのに、亮太を見つめる目だけは湧き上がる欲情に濡れていた。それはまるで、セックス時に挿入をじらされる事を恐れながらも望むような、マゾスティックな趣味をもつ恋人の哀願する瞳にとてもよく似ていた。
そして名も知らない奥さんのありかしからぬ姿に興奮し、不覚にも亮太のぺ○スは大きく勃起してしまった。
絡み合う二人の視線。
しかし奥さんはモーションを起こすことなくすぐに二つのパンジーの苗を抱え、屋上へと軽々上っていってしまった。
もしかしたら小説のようなアバンチュールが始まるのではないか、と淡い期待を抱いていた亮太は肩すかしを食らったようになってしまった。暖かな日差し降り注ぐ住宅街に、亮太は勃起したぺ○スと思いよらない光景を抱え、一人途方にくれる結果となってしまった。
しかし、やはり欲望の渦はあの時たしかに生まれていたのだった。