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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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好き…だぁーい好きなんだからっ!-4

「中は暗いな、まぁそれがまたムードがあっていいけど。」
「お魚サン、こんにちはっ!」

水槽へ近づき、おどけて見せる私。

「杏…、いいよ、そんな。」
「ありがとう、でも自分なりに何とかしてみようと思う。」

うじうじ考えても仕方がない、ならば悪あがきでもいいから形だけでも明るく振舞って見せる、別に絆に気を遣う訳でなく、悪魔で自分の為に。

それから私たちは他のカップル客と同じよう、可愛いフィッシュ達を観て盛り上がり、様々な会話をして盛り上がる。

「わぁーー、広い海。」
「何処まで続くんだろう。」

館外に出て、下を見下ろすとまだそこに楽しそうな見世物があり。

早速坂道を降りる、またも無邪気に。でも今度はさっきのような芝居がかった感じはなく
何だか心の負担が軽くなる。

ミニ釣堀コーナーやペンギンを観て、次にトドが居る場所へ。

「うしっ!じゃー色々見た事だし、トドメに行ってみるかっ!」
「ふふっ。」

私の親父ギャグは演技で浮かぶものではない。

「おっ、食った食った、可愛いなコイツ。」

餌をやり、もぐもぐと受け取る、何と愛くるしい。

「じゃー、僕も。」
「おっ、いいぞっ!」

男口調全開で、興味を持った彼も、続いて餌をやる事に。

「んんー、お願い、お口を近づけてよー。」

しかし、トドは食べる気配もなく。

「もぅー、どうなってるのよこの子はぁ、嫌になっちゃう。」

こっちは女口調になり出した、子供みたいに張り合い震える腕を伸ばし、トドの口を伸ばす…、その姿が何だか微笑ましい。

そしてようやく口を開け、餌を口にするトド助、即興で愛称をつけちゃう。

「やった、食べた食べたっ!……ってうわぁー僕の手まで食べないでぇー、くすぐったいよぉー。」
「あー、こやつこう見えてメス何かね、きっとアンタのお人形サンみたいに可愛らしいお手てを気にいったんだ。」
「何言ってんの、関心してないで、助けて。」
「はいはい、写真撮ってからね。」

などと言ってるうちに舐め飽きて解放される絆。

「ふぅー、全く…、やっと解放され、ゴホッ!」

気が済んで、思いっきり水へ潜るトド助、水しぶきがもろ彼の顔に当たり。

「ううぅー、散々だなぁー、良い調教してんなぁー、ねぇ杏…。」
「…あはっ!」
「?」
「ぶっははははははははははははははぁっ!ちゃんとオチがある何てアニメ見たい。」
「……。」

私は、腹の底から笑った、それはここしばらくなかった事。

それから再びフィッシュさん達を眺め、お土産コーナーへ寄り可愛らしいお人形を見たり
家族へのお土産を何にするかで迷ったり。水族館を出て、その勢いのままお隣の遊園地を楽しんだ。それはもう心の奥底から、今まで味わった事もないくらいの開放的に、さっきまで胸の苦しみを感じ周りが歪んで見えたのが嘘なくらい…。

楽しいっ!何て人生は素晴らしいんだっ!

天にでも昇るように幸せな気分になる。



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