好き…だぁーい好きなんだからっ!-3
「へぇー、遊園地もあるんだ、これは子供達喜びそうだな。」
バスを降りた私達を出迎えたのは、無限に広がる海、遊園地で楽しい叫び声をあげる子供達、そして雑誌でもよく目にした水族館の入り口。
「いこっかっ!」
「……うん。」
私の手を掴み、そのまま引っ張るように入口へ向かう。
彼の横顔からはイラついたような、困り果てたような表情は一切見られなかった。
こんな元気のない彼女の腕を引っ張り、彼は本当に私の事を想って。
なら尚更自分が許せない、彼がこれだけ気配ってくれてるのに、不安だからって何時までも臆病風に吹かれて、絆を困らせて。
やっぱり、嘘でもいいから明るく…、でもそんなんじゃ意味がない、生半可な振る舞いは返って彼を余計な負担を掛ける。
なら私は一体どうしたらいいの?!
このままずっと彼がまた居なくなるんでないかってビクビクしてる訳?もう完治してから二カ月は経ち、体に不調は全く見られず元気そのもの、なのに。彼を好きであればある程失うのが恐い、それが余計に不安を広げる。
あぁ恐い、恐いよ…、胸騒ぎが止まらない、辺りが歪んで見える。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だぁっ!
「んなぁ。」
「やめて…、行かないで。」
「杏っ!」
「!!」
目の前に、彼が居る、とても真剣な眼差しで私を見つめ。
「絆…。」
「しっかり!」
「……。」
「こっち見てっ!僕ならここに居るっ!」
「そう、だね…。」
握っていた手を更に強く握り、ようやく中へ入る。
「大丈夫、ずっと…放れないから。」
「うん……。」