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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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好き…だぁーい好きなんだからっ!-2

大きな川、果てしなく続きそうなくらいに。横には古風な建物が並び、有名地であって金髪で鼻が高い目の青い人々も観光に海を越え遥々足を運び。

この日も休み事なく流れゆく綺麗な川に、ただ静かに視線を落とす僕ら。

「テレビや、インターネットで見た通りだね。」
「うん、実際に見るとまた違うわ。」
「ほぅ、画家らしい発言だね。」

僕は彼女のユニークな会話に乗る事なく、本題に入る。

「ありがとう、杏。」
「え?」
「もう、無理に気は遣わないで良いからさ…。」
「何の事よ、一体。」

判ってるくせに…。

「僕の為に、乗り気でもないのに、明るく振舞ってくれて。」
「あ……。」
「とは言え、僕も我儘だよね、せっかく大好きな君を見れたのに、それが偽りの物だとしても、好意溢れる嘘には乗るべきなのに…。」
「絆…。」
「でもゴメン、やっぱり僕は…今の君の明るさを気に入る事は出来ないよ。」
「ゴメン、なさい。」
「あっ、謝らないで!君は何も悪くない、君は僕の為に苦しいのを堪えてやってくれた事なんだからさ…。」
「……。」
「そもそもこうなる原因を作ったのは僕、幾ら仕方がない事だったにせよ。」
「…そんな。」
「でも、こんな僕をそれでも嫌になったり別れよう何て思わず、普段と変わらない笑顔で僕の傍にいて、勇気づけてくれたんだよね。」
「…当たり前じゃない、私は絆の事が大好きなんだよ?ひ弱で頼りないけど、絵に真っ直ぐで、妥協し挫ける事もなく情熱を注ぎ、何より人の痛みを悲しみ人の幸せを心から喜べる、人間として素晴らしい心を持っている君。」
「杏…。」
「日本中、世界中探したってそんな良い人、早々居ないんだから、だから…だからぁ、死ぬって判った時は、もぅ…本当に。」

死が絶望的と判明したあの日を思い返し、顔を赤くし両手を顔に当て泣き出す杏。

「う、うぅ……だから、だから今でも、恐いの絆っ!」
「……。」
「何時かまた医師に、実は完治してませんでしたって言われるんじゃないかって、コンクールや合宿で遠くへ行ったっきりそのまま帰ってこないんでないかって、行って来る…
その言葉が最後になるんでないかってっ!」

そこまで考えていたとは、いや苦しんでいた何て。

「御免なさいね、折角完治して、これからいっぱい幸せになろうとしてるのに、肝心な私がこんなんで…、もどかしくてしょうがないよね…。」
「ううんっ!君がそこまで苦しんでるのに、気が付かなかった、いや本当は気付いていたのに大丈夫だろう、と都合の良いように解釈して。」
「絆…。」

僕のせいで弱り切った顔を浮かべる彼女。僕は彼女を包み込むように抱きしめた。

「っ……。」
「辛かったよね、でももう大丈夫、無理はしなくていい。」
「きず、な…。」

無論、そうした所で彼女の心労が完全に取り除かれた訳ではない、でも!

「楽しくないじゃない、私は元気だけが取り柄何だから、暗い恋人と一緒に旅行して何が楽しいの…。」
「いいよ、そんな事。暗くたって僕は君が傍に居てくれるだけで充分幸せだよ。」
「絆…。」

彼女の肩を掴み、取り合えず予定してた水族館へ向かう。

大丈夫、僕らは確実に自分の足で歩いている。



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