輝ける場所-2
ふと目を覚ますともう式は終わりに近づいていた。
回りに目をやると不覚にも涙を見せている奴が数人いた。
すると、俺はなぜここにいるのだろう?と思った。卒業式に出席しているというような類の問いではない。
なぜ、俺はこんなに平然と生活しているんだ?
あいつはいないのに…もう俺の大好きなあの笑顔はないのに…
卒業式がおわると仲間達との挨拶もそこそこに家路についた。
やはり、あいつを知っている奴らといるとあいつの事を思い出すし、どこか同情のようなものがいりまじった目で見られてしまうからだ。
帰りにコンビニで夕飯ようの弁当を無意識に二つ買った。
そして、気が付いて心の中で舌打ちをした。
もういつもみたいに二つ買う必要はないのに…
アパートに着いて弁当を備え付けの冷蔵庫に入れてベッドに横になる。
そうして溜息をついた後にスーツのネクタイを緩めた。また溜息をつく。
そうして、しばらくボーッとした後にふとあいつが俺に読めと言って寄越した本が目についた。
あいつには読んでると言っていたが実際はまだ全く読んでいなかった。なんとなく読んでみようかという気分になった。
ベッドからおりた。
机の上にある本を手に取ろうとした。
しかし、失敗して机から本を落としてしまった。
すると本の中から何か出て来た。それはどうやら手紙のようだった。
なんとなくあいつらしいなこんな事するのは…
中を開けてみる。
そうすると懐かしいあいつの文字が目に入って来た。ザッとその手紙に目を通す。
トモ君へ…
こんな手紙を書いてごめんなさい。
でも、これはあたしの最後の言葉です。ちゃんと読んでください。
多分これを読んでるって事はあたしはもうこの世にいないんだと思います。
あたしはトモ君が大好きでした。ホントにホントに大好きでした。
トモ君は優しくてあたしをいつも第一に考えてくれていたのがよくわかりました。
トモ君といると毎日がとても楽しくて、いろいろなものが輝いて見えました。
多分トモ君はあたしにとっての運命の人だったのだと思います。
でもあたしは思うのです。あたしにとってはそうかもしれない…でもトモ君にとって、あたしは運命の人ではないと思うのです。
やっぱりトモ君には別の…別の誰かがいると思うのです。
出来ればあたしが運命の人になってあなたとずっと歩んで行きたい…
でも、やっぱりそれが出来ないのはいやでもわかってしまうのです。
トモ君の隣にいられない事は。
だから、あたしの事は忘れてください。忘れてあたしとは別な新たな道を歩んで下さい。
あなたは自分では輝けない月ではないのです。
あなたはあたしの太陽なのです。