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サイパン
【戦争 その他小説】

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第二十話 夜襲-2

「見つかったぞ! 手ごろな機を潰してまわれぇ!」
 突入を始めてから、発見されるまではそう時間はかからなかった。中尉は叫びながら、駐機中の戦闘機の風防の開いた操縦席に手りゅう弾が満載された雑嚢を投げ込み、腰の軍刀を引き抜いて米兵の詰めているテントに斬り込んでいった。
「わーっ!」
 今野と軍曹も雄叫びをあげて飛行場に突っ込む。目の前の兵士が迎撃の銃弾を受けて右足を飛ばした。兵士は片足になっても地面を這い、突撃を止めようとしない。
 安全装置を解除した破甲爆雷を抱いた軍曹は、多数の米兵に身体をハチの巣にされながらも、そのうちの一人にしがみついてそのまま戦闘機の胴体に押し付け、見事に散った。
 一方の今野は、戦闘機の下部に潜り込んだ。
「やぁっ!」
 絶叫と共に、増槽に棒付爆薬を力一杯突き刺した。とたん、括り付けてある迫撃砲弾の信管が作動した。増槽には燃料が満載されていたのか戦闘機は派手に爆散し、あたりに無数の鉄片と肉片をまき散らした。


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