〈我ハ“八代”ナリ〉-6
『あら、子供じゃないんだから、好き嫌いは駄目よぉ』
タムルは更にスープを口移しで注いでいき、マスクの鼻の部分に開いている穴を、指で摘まんで塞いでしまった。
「も"ッ……ぷ…ぐぐッ……ゴクッ…ゴクッ……ぶはあッ!!ふはあッ!!」
呼吸を完全に塞がれた景子は、死に物狂いになって酸素を求め、身体を揺らして悶えた……やがて、口の中に溜まっている、唯一自分で取り除ける“邪魔者”を喉を鳴らして飲み込み、肩を揺らして息を吸い込んだ……。
『ウフフッ……久しぶりの食事は美味しいでしょ?』
「あ"ぁ"ぁ"ッ!!がはッ!!がぼぉ…!!」
またもタムルはスープを口に含み、グヂュグヂュと嗽をして人肌に冷まし、景子の口へと流し込んだ。
呼吸をするには、その汚ならしいスープを飲み込まねばならず、しかし、この地に来てから与えられた初めての食事に、細胞の一つ一つが目覚めていくような感覚を覚えていた。
『ほらぁ、この海老、凄いプリップリで美味しいわよぉ?フヒッ!ムヒヒヒ……』
「ごぷぅッ!!……がごおぉ!!」
固形物は咀嚼され、ドロドロの流動食となって口の中に吐き出される。
そして飲み込みやすいようにと、スープが注がれるのだ。
『糞の穴に玩具を突っ込まれたまま食事するなんて、変態の貴女には堪らないでしょう?ほぅら……コッチの穴も気持ち良くして・あ・げ・るぅ!』
「あ"〜〜〜ッ!!!」
年齢に不釣り合いな無毛の幼器は、タムルの肉棒に貫かれて激しく悶絶した……ねちっこく突き上げられながら口移しで食物を与えられ、景子の悲鳴は不規則な爆発を繰り返す……雁字搦めの革人形にされた景子に、狂気の御主人様の禍々しい愛情が浴びせ掛けられる……。
『ふう〜、とっても楽しいわぁ!……あ、そうそう、香木は貴方の部下が運んじゃってるから。あと原木は“土場”に山にしてるから、それを持っていってね』
土場とは丸太を置いておく場所の事で、樹木の種類や長さ、直径によって別々に積むのが通常である。
つまり、専務達への報酬分の原木は、土場の外れに別山として積まれていると言う事だ。
『ありがとうございました。じゃあ私はこれで……』
『うん、じゃあね。見送りはしないわ』
振り返りもせずに、タムルは素っ気ない返事だけを残す。
すごすごと頭を下げ、再び扉を閉めた専務は、監禁棟から外に出た。
もうトラックの姿は無かったし、専務の用事も済んだ。
グルリと監禁棟の外周を回り、開けた庭に向かう……その先に生えた巨木には、何時もと変わらぬ人垣が犇めきあい、動物のような呻き声が聞こえてきた……。
「ぶひゅッ!!ごも"ッ!!ぐぼッ!!」
瑠璃子と静香の後釜に選ばれた架純が、あの樹木に吊り下げられ、公衆便所としての役割を果たしていた。
大翔を奪われ、変態として生まれ変わるべく淫虐な調教にさらされ、そしてタムルの好みの家畜になったにもかかわらず、その末路は単なる便器として使われるだけであった。