レベルゲートU ―偽装―-2
「・・・で、」彼女は皿を片付けながら言った。
「私は、仕事があるんで、出かけたいんだけど・・・」
「わりい、わりい」俺は、手早くトーストを食べると、キッチンへ皿を運んだ。
「・・・OK。美味しい朝食をありがとうございました」なれない敬語を使う。
「お粗末さまでした」
ミュウと目が合う。軽く微笑む。・・・俺は、この瞬間がちょっと好きだ。
「06233 ジェイだ。」
「通りたまえ」頑丈そうな鋼の扉が、左右に開いた。
ジェイの入っている組織の地方支部。彼は主にここら辺で活動している。そして、前に座るのはそのボス。
「今日は、これを持ってきた。」ジェイは、ふところから、黄金に光るコースターを取り出した。
「ご苦労」ボスはちょっと確認すると側近にあごで命令した。『金庫へ運べ』
「では」ボスが、ジェイのほうを向く。
「次の任務もがんばってくれ」
「はい」
時を同じくして。
「これです。銃弾のあとがありますが」
「大丈夫だ。銃弾の後など、我々の計画にはなんら関係ない。ご苦労だった」
ミュウは、ある組織のボスと面会していた。そして、その手には黄金のコースター。ジェイに当たった銃弾を、その身で受けたコースターが・・・。
「ちょっと待て。まさかこれ、偽者ではあるまいな?お前に模倣品を作らせたら、天下一だからな」
「それは、ありません」彼女はきっぱりと答えた。
「すでに違う用途で使ってしまいましたわ・・・」