ラ-2
「響子。俺と一緒に農園に帰ろう。ずっと一緒にいよう」
「豪・・・」
そんな風に言ってくれるなんて夢にも思わなかった。
何も言えないでいる私の代わりになぜか石島さんが口を挟んだ。
「でも横手さんはこっちで仕事があるんだぞ?どうする気?
彼女のキャリアをつぶすのか?後で彼女が後悔したらどうするんだ?」
じっと見つめる石島さんを豪もじっと見つめ返した。
その後、私と視線を合わせ
「響子、ごめん。俺は横浜では暮らせない。
もし、響子が横浜にいたいなら2人でいい方法を見つけよう」
「そんなこと言わないでよ・・・・」
「え・・・?」
「さらって行くぐらい言ってよ」
「・・・・」
「絶対に俺と一緒に帰ろうって言ってよ」
「響子」
「覚悟は出来てる!」
「響子」
「・・・だ、そうだ。横手、このまま今日は帰宅していいぞ。
どっちにしろ仕事にならないからな。明日は出社しろ」
石島さんがそう言った途端
豪が私を抱き上げた。
「ちょっと!」
「大人しく抱かれとけ。逃げないように抱いててやる」
ここ、会社だってば・・・・
私は喜んでいいのか、困ったらいいのか、怒ったらいいのか分からなかった。