井上舞の場合 1-1
「舞 もうすぐ冬休みね」そう親友の新藤香に言われ、頷く舞。
井上舞 高校2年生 学校ではリーダー的な存在であり、風紀委員もつとめる真面目な女の子である。
香「舞 最近、うちの学校も急にガラの悪いヤンキーが急に増えたよね」そう話しかける香 香も成績優秀で学習委員をつとめている。舞「風紀委員として注意しないとね いけない 次の授業が始まるわ」そう言うと二人ともあわただしく駆けていく。
二人が通う聖心女子高校は最近、急に素行の悪い生徒が増えてきている。
その日の放課後、舞が4階にあるトイレを開けると、数人の女子生徒が煙草を吸っていた。舞「あなたたちこんなところで煙草を吸ったらだめでしょ!!」女「やべー」女たちはトイレから一斉に逃げ出した。その時、一人の女と舞がぶつかり舞は床へ転倒した。舞「待ちなさいあなた達アタタタ」舞は立ち上がった。
舞「どうしてあんな生徒が増えたのかしら?」と呟いた。立ち去った女の子の制服は短く切り詰められ、スカートは地面に着きそうなくらいまで長いスカートを履いていた。舞には風紀委員として彼女たちの風紀の乱れが許せなかったのだ。
「あら、舞 どうかしたの?」そう舞に声をかけてきたのは 教師 立花美香 舞が学校で一番信頼している先生だ。 舞は立花先生に事情を話し、舞「どうしてあんなことをして楽しいのかわからないわ?」そう話す舞。美香「井上さんも彼女たちの心の中を理解してみたらどうかしら?」そう言うと舞に口紅を手渡した。舞「先生 私こんなの要りません。」「舞 これは彼女たちのようになることのできる口紅よ」「え?」美香「彼女たちを元に戻すためには彼女たちの気持ちを理解することからよ 舞 大丈夫 この口紅を使っている間は舞とは判らないから」舞「??」美香「いいから使ってみて」そう言うと立ち去っていく。
家に帰り、ポケットから口紅を取り出す舞。捨てようと思い口紅を手にするが、美香先生の言うことだから舞「一回くらいつけてみようか?」と口紅を手に取り、唇に塗ってみる。
口紅を塗り終えると共に舞の心の中には黒いものが込上げてきた。そして鏡を見ると鏡には舞の顔ではなく、見知らぬ女の顔が映っている。舞「え これなに?」舞はあわてて口紅手でふき取り、もう一度鏡を見るといつもの舞の顔が映っていた。もう一度口紅をつけて鏡を見ると再び、さっきと同じ見知らぬ女が映り、口紅を拭きとると元の舞に戻っている。
舞はびっくりしたものの口紅を捨てることはできず、そのまま口紅をポケットに入れたまま、家飛び出していった。そして、公園のトイレに誰にも見られていないことを確認しながら入って行き、口紅をつけ、鏡で顔が変化したことを見て舞「これなら私と解らないわね」と
美香先生の言っていた通り、彼女たちの気持ちを理解することが大切なのよねそう心の中でつぶやく舞。