第47章 恋愛ごっこを、随分と楽しんでいるようね?-2
昴は帰宅後、シャワーで体を冷やすとベッドに入った。明日のことが楽しみで眠れず、うとうとし始めたころ、メイドの瑠璃が遣いに来た。
瞳が呼んでいると言う。時計を見ると3時を回ったところだった。世界中との取引で夜中も働いている瞳だが、この時間の呼び出しは珍しい。
昴の頭に不安げなひたぎの顔が浮かんだ。しかし、瞳の呼び出しを断ることもできない。昴は不安を押さえながら、瞳の部屋へと向かった。
瞳の部屋に近づくと、女性の呻き声が聞こえてきた。恐る恐るドアを開けるとそこには、
「!!!!!」
腰まで伸びた豊かな巻き毛を揺らして、瞳が鞭を振り下ろす。鞭が天井から吊るされた愛子の裸体に蛇のように伸びていく。昴は鞭を振るう瞳の荘厳な美しさに、状況も忘れるほどに圧倒されていた。
スレンダーな体に漆黒のドレスを纏い、あまりにも美しい肩から首筋へのライン、整った顔立ちに浮かぶ表情は自信に満ち溢れ、全身から匂い立つような大人の色香を放っている。そして何よりも、全ての者がひれ伏すような鋭い眼光が昴を震え上がらせた。
「ひぃいいい!」
鞭が愛子の裸体に巻きつくように絡みつく。激しく肉を打つ音と共に愛子が体を激しく震わせた。
鞭を激しく振り下ろしながらも、瞳の左手のワインは少しも揺れてはいなかった。瞳はそのワインをゆっくりと飲み干し、昴に声を掛けた。
「昴・・・恋愛ごっこを、随分と楽しんでいるようね?」
瞳の言葉に、愛子が口を挟む。
「昴さんは本気です・・・はあ、はあ・・・信じて、信じてあげて・・・」
瞳の黒髪が再び揺れる。鞭が再び愛子の体を激しく打った。愛子が弱々しい悲鳴を上げ、がっくりとうなだれた。愛子は既に何十回と鞭打たれているようで、全身に鞭後が残り、幾つかの場所は皮膚が裂けて血がにじんでいた。
「黙りなさい!あなたが甘やかすから、この子が勘違いするの!」
瞳が静かに言い放つ。昴にとって瞳は、絶対的な支配者だった。しかし、ひたぎのことだけは譲れない、昴は勇気を振り絞って瞳に答えた。
「僕は、ひたぎを心から愛しています」
「そんなものが愛だなんて、あなたの愛は随分と薄っぺらなのね?」
「違います。彼女を本当に大切に思っています。僕は一生を掛けてひたぎを守ります」
「子供の戯言ね?分からないのなら教えてあげる。もし、私が彼女と関係を持っても、あなたは愛し続けることができるのかしら?」
瞳は両性具有者なのだ。それも形だけではなく、男性の外性器と睾丸、そして卵巣も子宮も完全に機能する単性生殖さえ可能な完全体の持ち主なのだ。
「私が関係を持つ以上、彼女を完全に屈服させるわ。最初は犯すことになるけど、最後は自ら望んで私の精を受けさせる。妊娠させてくれと懇願するまで責め抜いてやるわ。
ああ、彼女は受け入れないと思っているようね?あの敏感な娘を落とすのなんて簡単じゃない。あなたがしたことと同じことをするだけよ。散々に弄び、絶頂を奪えば良いのよ。
そうね?気の強い彼女のことだから1時間や2時間じゃ落ちないでしょうね?でも、どうかしら?3日も寝かさずに責め続けたら・・・自分から腰を振って、妊娠したいと泣き喚くわよ・・・もちろん本当に妊娠させるわ。そして産ませる・・・
それでも昴。彼女への愛は変わらないかしら?それでも、私から彼女を奪って、彼女に変わらぬ愛を注ぎ続けることができるのかしら?」
昴の瞳に涙が溢れ出す。絶対的支配者の前で、昴は許しを請うことしかできない。
「瞳さん。お願いです。ひたぎは、僕の大切な・・・」
「質問に答えなさい!」
「ああ、僕は・・・それでも、ひたぎを愛します・・・」
「彼女はどうかしら?私が昴の童貞を奪い、その精を搾り取って妊娠したとしたら。そうね、あなたの血はそんなもんじゃないわね。愛子もあなたの子供を欲しがっている。水晶もそうね?女達が次々とあなたの子を孕み、子を産んだとしても、変わらずあなたを愛してくれるのかしら?」
「瞳さん。許して、許して下さい」
「私が許しても、あなたのその血が許さない。瑠璃!昴を脱がせなさい!」
メイドの瑠璃が弾かれたように動き、昴に一言侘びて、素早く昴のパジャマと下着を脱がせた。
裸の昴を、瞳はあっという間に後ろ手に縛り上げ、瞳の足元に跪かせた。
「これがあなたの血よ・・・」