デ-7
一体何なの?出かける前に。
そんな風に思って倉庫を覗き込んだら
表の外観からは想像もつかないような整備された倉庫内で
真っ赤なツーシートのスポーツカーが鎮座していた。
「なに・・・これ・・・」
「車」
「見りゃわかるよ」
「ん。良かった。疲労で車が認識できないのかと思った」
そんなわけないでしょ。
「行くぞ。乗れ」
こんな、車体が低い車に乗るの初めてだよ。
何この、やんちゃな車。
全然、農道に合ってないんですけど。
低い車体のシートに座りこめば
スカートのすそが持ち上がった。
良かった。ミニスカートじゃなくて。
って・・・・
私いくつだと思ってるのよ。
こんな心配、とっくの昔に終わったと思ってたのに。
この年になってツーシートに乗ろうとは・・・
可笑しさに笑いがこみ上げた。
「ん?」
農道を出て、高速に乗った途端スピードをあげた車の運転席で
豪が前を向きながら聞いた。
「いや。意外だな。って」
「農業しか興味がないような田舎男なのに?」
声をあげて笑いながら
そんなことを言うもんだから
「まぁそんなとこ」
正直に答えたら、また大声で笑った。