ン-3
私がじっと睨んでいるとお風呂を洗って用意してくれた豪が
訝しげに私の視線をとらえた。
「いいえ。私の何倍も働いているのに元気だな。って」
「そりゃそうだろ。響子はここにきてまだ2週目だろ?」
「そうだけど・・・・」
「早く風呂に入って寝ろ」
私をソファーから起こした。
「だっこ」
「・・・は?」
「もう歩けません。お風呂場まで抱っこして連れて行って」
「・・・・」
「豪!」
「お前は子供か」
「子供でも良いから。抱っこ」
しばらく、考え込んでいた豪だけど
私がいくら待っても動き出さないので
ため息をついてから、今日だけだからな。と
お姫様だっこをしてお風呂場に連れて行った。
「ほら」
と、脱衣所に降ろされそうになるけど
ギュッと首筋に腕を回す。
「おい」
「身体が洗えないほど疲れてる」
「・・・温まるだけでも良いから」
「一緒に入ろう?」
「はぁ?」
「豪。一緒に入ろう?」
「・・・・あのなぁ」
「私、昨日の記憶、あるんですけど」
「―――っ!」
一瞬、豪が飛びのいた。
「女にあそこまで言わせて、それでも手を出さないんだ?」
「いや」
「ねぇ。一緒に入ろう?」