シ-3
翌朝、同じように4時に起きて朝食を作る。
「本当に私だけ休んでもいいの?」
「ああ、ゆっくりしてこい。夕飯の心配もしなくていいから」
嬉しいはずなのに
私がいなくても大丈夫だと言われているようで
ちょっと悔しい。
「10時過ぎに迎えに来てくれるから」
そう言い残して片桐さんはいつものように畑に出て行った。
私は急いでお昼ご飯だけ作って冷蔵庫に入れる。
居間に「お昼ご飯は冷蔵庫に入ってます」とメモを残し
久しぶりにオシャレをすることにした。
髪をセットして、化粧をする。
高いヒールも久しぶりだ。
用意ができた頃「隣」の大学生が迎えに来てくれた。
「うわ。豪さん家になんでこんな美人がいるの?」
なんか女性として久しぶりに賞賛を得て嬉しくなる。
「仕事でここにいるのよ。今日はよろしくね」
見るからにこの辺の土地柄には似合わない髪と
似合わない服装の大学生の坊やは
「どこにでも連れて行くから行きたいところを言って」と
愛想がいい。
「片桐さんって、ごうっていうの?」
「あらら。片桐さんは自己紹介もしてないの?
そ。片桐豪だよ」
「へ〜」