たそがれドライバー-2
あと10分になった。もう来ないな。真面目に16時まで待っているのがバカバカしくなってきた。行こうかな。里山はエンジンキーに手をかけた。エンジンかけちゃおうかな。どうしようかな。いいや、かけちゃおう。検診車のエンジンが鳴り響く。そのときだった。バックミラーにこっちに向かって走ってくる一人の女が映っていた。まさか、違うだろ。里山はアクセルを踏んで出発しようかと思った。だがまだ時間前だ。ためらった。すると女は運転席の窓を叩いた。
「すいません。遅れてすいません。検診受けたいんですが?」
その女はルパン三世に出てくる峰不二子のような美巨乳の持ち主だった。里山は窓ガラスを降ろして首を出し女に言った。
「悪いけど16時までなんで」
「まだ16時前ですけど。15時55分ですよ」
女は腕時計を見せ少しだけ怒った顔をした。
「そうだけど、これくらい早く終ることもあります。あしからず」
「冗談じゃない。私営業で外回りしてて電車が事故で遅れて、それでも必死に駅から走ってきたんですよ。これで受けられないなんて理不尽です。おたくのクリニックに電話してクレームいれますよ」
さすがに営業ウーマンだ。押しが強い。それに女に同情したい気持ちはある。今日の検診を逃して後日となればきっと自費でやらなければならなくなる。だが里山は、今日は岩城の件ですこぶる機嫌が悪かった。
「君だけ例外ってわけにも」
「例外じゃないでしょ?まだ時間内と言ってるじゃないですか」
里山は女を上から下まで眺めた。それにしてもいい女だ。色気がムンムンと漂っている。どこからでも舐めたいぐらいだ。どんな裸をしているんだろう。こんな営業が来たら男なら不要な物でも買ってしまいそうだ。しかし機械の操作をミスって何も写っていなかったら責任問題になる。ベストクリニックを解雇されるようなことはないと思うが。里山は思い悩んだ。この女の裸を眺められるなら残業なんて全然OKか。それに失敗しても岩城が写したことにすればいいんだ。岩城は今ここにいることになっているんだから。よし。
「わかった。いいよ」
「本当ですか?」
「ああ、いいよ。君には負けたよ」
「ありがとうございます」
その女は深々とお辞儀した。
後ろの扉をあけて里山と女は中に入った。
「荷物はそこに、衣類はそこにお願いします」
「はい」
「えっと、問診票はあります?」
「はい」
女は鞄から問診票を取り出した。
「お名前が峰文子さん?」
「はい」
「やっぱ名前も似てるな」
里山は思わず笑ってしまった。
「似てるって?」
「いやいやこっちのことです」
峰はあっと言う間に上半身ブラジャーだけになった。
「下着はつけたままでいいんですよね?これ金属ついてないし」
「悪いけどうちはダメなんだ。院長の方針で裸で撮影します」
「どうしてです?」
「正確に写したいんですよ」
「わかりました」
峰は何の躊躇もなくブラジャーを外した。さすが営業ウーマンだ。度胸がある。脱いだあと手で胸を隠したりしなかった。ツンと立った乳首に思わず目がいってしまう。あまりの美しさに里山は絶句状態だ。
「それでどうしたらいいですか?」
「あ、そうだったね」
里山の心の中に抑えることのできない感情が芽生え始めていた。それが男の性っていうもの。この感情がなかったらおそらく男ではない。そして里山はその感情を実践してしまう。
「ちょっと待ってくださいよ。峰さん、いいですか?」
「はい」
「この台は多くの方が検診で使います。勿論消毒はします。でもやはり衛生上、外回りで着ていたズボンのままで乗られては困ります」
「じゃ脱ぐんですか?」
「そうしてください」
峰はズボンを脱いだ。白いレースのパンティが丸見えである。里山は白いパンティが大好きであった。陰毛の影が映っていた。ここまで来たらパンティの中身を絶対に見たいぜ。それが健全な男だ。里山は心臓がドキドキしてきた。