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衛星和誌 −Qカップ姉妹−
【SF 官能小説】

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あなたは調教士(12)-1

(ぜ、全住民‥‥?)
 目を丸くしているあなたに、ルリア・ミアヘレナは説明を続けた。
 「歴史時代」という言い方が、ここではされる。特にルリアはよくする。ここのこの時代から考えて、だいぶ昔の時代、あなたが元の世界で歴史の教科書で習うような時代のことらしい。
 その歴史時代、コンジャンクションは、数十日間にわたって観客席のある大コロシアムで大会形式にて行なわれ、多数のチームが参戦していた。やはり、特に審査員の類は存在せず、広く観客の投票によってポイントがつくものだったが、今回は、復活の第一回であり、また事実上オイオとスガーニーの一騎打ちで半日で勝負が終わるということもあり、放映と投票によるポイントによる形式が選ばれたのだということ。
 投票は、電子式によって行なわれる(メールのようなものだろう、とあなたは推察した)。来たるコンジャンクションに合わせ、いまこの星系せかいでは、コンジャンクションの放映とこの電子投票のシステムの構築が、急ピッチで進められていること。一部始終が各会場から星系全体に放映され、視聴者が――理屈の上では星系の全住民が――その投票権を持っていること。
 この時代から見て旧時代の競技、あるいは儀式であり、今回は復活の第一回だということで、現在生きている人間で実際のコンジャンクションを見た者はおらず、何もかも手探り状態だということ。しかし、放映・投票の準備や星々間の調整は順調に進み、この世界の歴史に残る一大イベントになるだろう、ということだった。
 ルリア・ミアヘレナは最後に、
「この国家プロジェクトを是が非でも成功裏に終わらせ――」
などと、あなたが思ってみなかった言葉を口にして、そのときあなたを思い切り引かせたのだった。
(こ、国家ぷろじぇくと‥‥?)
 そりゃあ、ミドリの奴が、
「負けられないっ」
だの、
「オイオの運命がかかった一戦ですっ」
などと、口走るわけだ。
 古式のように直接の観客席が設置されているわけではなく、ここオイオでやっている調教と同じく、スガーニーの王宮内に設けられた幾つかの会場で行なうだけ、というが‥‥。
(重い。重すぎる‥‥)
 この世界にどれだけの住民がいるかはわからないが、その全住民に向けて放映し、かつ投票させるだなんて、荷が重すぎるではないか。
(そして、国家プロジェクト、ときた。責任重大じゃん‥‥。まあ、用語ことばの問題かもしれないが‥‥)
 ルリアは、
「スガーニーは、オイオここと少し標準重力が異なる。が、あそこの王宮は、普段からこのオイオ以上に1G下にしているし、コンジャンクション自体も、おそらく重力は選べるようになる運びだ。つまり、おまえの元の世界と同じ約1Gの状態で勝負できる。おまえにはやりやすいだろう」
などと言ってくれもするが、あまり気休めにならない。
 およそ二ヶ月先に控えるコンジャンクションが、最近、あなたには重く感じられてきていた。
 また、それとは別に、あなたのなかに、元の世界へ帰りたいという気持ちも起こってきていた。
(望郷の念、ていうやつか‥‥。そりゃあ確かに、ここでの待遇は悪くない‥‥)
 あなたは考える。衣食住は、いや衣食住は、十二分に満たされている。名誉も、地球上にあなたがいた頃には、ちょっと考えられないようなものが与えられている。巨乳女たちを好きに嬲ることで、それらが手に入るのだ。一おっぱい星人にすぎなかったあなたには、地球上ではおそらく、一生涯味わえない環境だろう。
 あなたは、地球上では、イケてるとは言いがたい男だった。かといって、何か悟りを開けていたわけでもない。浮ついた、どこまでも中途半端な男だった。それを考えれば、
(もう少し、コンジャンクションとやらが終わるまで、この世界にいてもいい。その間、たっぷり女体を楽しんで‥‥)
と、あなたは自分に言い聞かせる。地球への帰還は、召還とちがって容易にできる、ということだった。なんでも、召還の際のメモリの必要部分のデータが残るので、ミドリ曰く、
「それに沿って、ちょこちょこっと操作すればいい」
らしい。ルリアに聞いても、同じような答が返ってきた。
 しかし、感情というのは厄介だ。
(いくら巨乳を好き放題できても、元の世界に戻ったらそんなことは不可能でも――)
 帰りたい。その気持ちはなかなか消えなかった。自分の心が見えなかった。
(望郷の念、強し‥‥! おっぱいはもったいないけど、明日にでも帰らせてもらおうか‥‥。性欲や支配欲の充足だけじゃ、人間は満たされないものなんだ。誘惑に打ち勝て、おれ‥‥!)
(戻って二、三日もすりゃ、きっと後悔してるぜ。退屈な日常。スリルもなし。リアル巨乳もなし‥‥!)
(そんな後悔がなんだ! それだって二、三ヶ月で消える。おれはいま、帰りたいんだ!)
(消えるか? 消える‥‥か? 一生、後悔するかもしれないぞ。地球へ戻るのはいつでもできる。だがここへは、もう二度と戻ってこれない‥‥)
 気がつくとあなたは、地球上ではあまりしなかった、自分を省みる作業をしている。
(いや、待て待て‥‥。こうやって、もたらされる利益を考えず、目先の浅い衝動を過大視したり、「望郷の念」なんていう、実は思いついたにすぎないもっともらしい言い方に酔っ払ったりして、自分の行動や身の振り方、いろいろな判断を安易に下してきたことこそ、おまえが地球上でイケてなかった原因のひとつなんじゃないのか‥‥?)
 いつも、答は出なかった。そして、
(もう少しここにいてみよう。いつ帰ってもいいように、彼女たちのおっぱいをたっぷり味わいつつ‥‥。そのうち、何か光明が見えてくるかもしれない‥‥)
という当座の、頼りない結論に辿り着き、あなたはここでの日常を続けるのだった。


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