第42章 今から初体験であなたがすべき事を教えます-1
翌日、ひたぎは、水晶を引き合わせるため、綾乃を家に呼んでいた。
昴は、久しぶりに一人となり部屋で読書をしていた。喉が乾き飲み物を頼もうと振り返る。そこに何時もいるはずの水晶がいない。他のメイドを呼ぶ気にもならず、水晶に思いを馳せた。
ひたぎの傍にいるのだから心配はいらない。不安定な綾乃との引き合わせも、ひたぎなら上手くやるだろう。
今頃、水晶はどうしているのだろう? ひたぎと綾乃が激しく愛し合う姿を見せ付けられているのだろうか?
考え始めると想像が加速する。常識では考えられない発想をするひたぎのことだ、言葉巧みに綾乃を翻弄し、水晶との肉体関係を強要するくらいのことはやりそうだ。それだけならまだ良い。水晶に綾乃を徹底的に責めさせて、悶え狂う綾乃に、更に言葉責めを加えるくらいのことはしかねない。
考えるだけで下半身が疼く。手淫をしたいが、それを手伝ってくれる水晶がいない。そんな時だった。ドアがノックされ、ネグリジェ姿の愛子が現れた。
「母さま!」
昴は二人きりの時、愛子をそう呼んでいた。昴が幼いころから外出の多い実母希に変わって、愛子は常に昴を胸に抱き、実の母親以上に愛情を傾けて昴を育てた。幼い昴はそんな愛子を自然に母さまと呼ぶようになり、一つ違いの妹を生んだ愛子の母乳を飲み、母乳が出なくなっても愛子の乳房をいじりながら眠りに付いた。愛子は、昴に取って母親以上の存在で、厳格な八蜜家の中で、どんな時でも昴の見方となり、優しい笑顔で励ましてくれる愛子を心から大切に思っていた。
「水晶がいなくて寂しいかと思って・・・迷惑かしら?」
「迷惑だなんてそんな。母さまなら何時でも・・・」
愛子が昴のベッドへと滑り込んでくる。
「久しぶりね?」
「は、はい・・・・」
昴にとって愛子は、女性としても一つの究極の理想像だった。ひたぎと出会うまで、愛子に思いを寄せ、手淫で何度も精を放った相手でもある。愛子の甘い香りに包まれて、熱い思いが溢れ出す。
同時にひたぎの顔が頭を過ぎる。まずい。このままではいけないと昴は焦った。その時だった。愛子の手が昴の股間に添えられた。
「!!!!!」
「懐かしいわ。昴の匂い・・・幼いあなたを毎日抱きしめて眠っていたのよ。覚えている?」
昴の勃起が更に充血し、愛子の手を押し上げる。しかし、愛子はそのことに触れず、何事も無いかのように会話を続ける。
「は、はい・・・」
「あのころのあなたは、とても素直で可愛らしくて、私の宝物だったのよ。そんなあなたが、こんなに立派になって・・・」
「母さまを愛しています。でも、今の僕にはひたぎが・・・」
「あなたの成長を見守ることが私の幸せだった」
昴を育てた愛子もまた、昴を実の子以上に愛していた。
「あなたには本当に幸せになってほしいのよ・・・ひたぎさんを愛しているのよね?ひたぎさんは素晴らしい女性よ。とても魅力的で、あなたの足りないところも補ってくれる・・・」
愛子が昴の頬に手を添え、愛おしそうに見つめる。
「そして、誰よりも深い愛欲を持っているわ。私や瞳さんよりもね・・・彼女を愛しなさい。そうすれば彼女から愛欲が泉のように湧き出して、あなたを満たしてくれる。あなたを幸せにできるのは彼女しかいないわ・・・だから、初体験の相手をひたぎさんに譲ることにしたの・・・」
愛子の溢れるような愛情に包まれる。
「初体験はとても大切なものなのよ。特に彼女にとってはね。彼女はまだ発情しきっていないわ。初体験が彼女を完全に発情させるきっかけになるはずよ。だから昴。今から初体験であなたがすべき事を教えます」
「!!!!!」