ミ・ドリ語り(3)-1
わたしは、このオイオで生まれ育った。かつては奴隷の身分だったが、そこから脱し、いまは軍属、伝統ある王室護衛隊に所属している。
数年前、ルリアさまがこのマロツィアに上られた頃からお近づきになった。
(ルリアさま――)
わたしは、いけない空想を抱いている。
(あの力強い腕で、ぎゅっと抱きすくめられたら――)
(あの細長くて長い指で、この胸をまさぐられたら‥‥)
これらの空想――妄想は常日頃のもので、そしてしばしば、別の、もっといけない方向へと向かう。
(見たことはないけれど‥‥)
目の前では、懸架装置のテストとして、ジャニスさまが上から吊るされたまま、部屋中を歩くことをしていた。
豊かなおっぱいが、ユサユサ、ユサユサと無防備に揺れている。いや、無防備どころではない。女のわたしにも、あまりにも淫猥な動きだった。追尾カメラがその模様を丹念に追い、わたしの目の前のモニタにも、様々な角度からのその映像が映し出されていた。これはカメラシステムの追尾テストをも兼ねている。それらに問題はなかった。
見ないようにしてはいたが、わたしは、そのいやらしさに圧倒されながらも、ルリアさまがどう思っているかが気になっていた。
午後になると、調教士の奴は、二段縛りというのを行なった。
おっぱいを縦に二段に分かつように、背中から縄をまわして強く縛り上げる――いや、絞り上げるというプログラムだった。この縄は、手や足用の枷と同様、工廠が用意してくれた物で、調教士の奴がいた時代の麻縄というものを模したものということだった。
ジャニスさまの両の
(わたしのこのおっぱいも、あんなふうに歪に、しかも大きくたわむのだろうか――)
そんなわたしに、調教士の奴は、鏡をジャニスさまの前に置けと命じた。やはり彼が工廠に作らせた大きな鏡で、取っ手と三脚がついていて、持ち運びや設置がしやすくなっていた。これは彼のオーダーではないが、周囲にはマウ・ペリンツィア様式の簡単な彫刻もつけられていた。
わたしが言われた通りにすると、ジャニスさまは、信じられない、というような驚愕の目を大きく見開き、すぐに顔を背けた。
しかしそこで、ルリアさまの、声音は柔らかいが、厳しい指示が飛んだ。
「ジャニス・プラスケット、ちゃんと直視するんだ。自分のいやらしい姿を見ることが目的なんだ。――そうだろ?」
最後の部分は、調教士の奴に対してだった。あいつが頷くと、ジャニスさまは、
「は、はい。ジャニス、いやらしい自分を見ますっ。ス、スガーニー星の女も‥‥いまごろきっとこんな試練を――‥‥きゃああっ」
ジャニスさまは、別に触られたわけでもないのに、目を開いて自分の緊縛おっぱいを見ただけで、さっと頬や首筋を羞恥の朱色に染めて、
「いやあ‥‥。ふうん‥‥ふうううん‥‥」
と、甘く鳴きながら身悶えする。上下に絞り分かたれたジャニスさまの大きな乳房も、それにつれて、大きくみだらに揺れ動いたのだった。
昨夜‥‥。
展望室から戻ってくると、翌日、つまり今日からの調教への不安と好奇心を自分の内に感じつつ、わたしは例の書き物のため、自室でモニタの前に座り、キーを叩いていた。
スガーニー星。それが、
本番までもうおよそ三ヶ月というこの時期に、出場人数が一〜三名の間で未定なのは、スガーニー側が決定を引き延ばしているからだ。
調教士の奴が察したかどうかはわからないが、これらのことに示されるように、コンジャンクションの主導権は
スガーニーは、わがオイオを強奪するために、今回のコンジャンクションを最大限利用する気なのだ。