よみがえりの木-2
メイと美奈、そして蘭は、幼稚園から高校までずっと同じところに通い、家も近所同士の仲良し三人組みだった。
美奈は、勉強も運動も学年の中で常にトップ、美人でいつもシャキシャキしていて、みんなのお姉さん的な存在。
蘭は、勉強も運動もまるでダメだったが、お嬢様育ちの品の良さと、可愛らしい容姿が幸いして、みんなに好かれていた。
メイは成績も容姿も常に中の上、実家はさほど裕福でもないが、貧しくもない。
平凡を絵にかいたような存在だと、自分でも思う。
タイプの違う三人だったが、かえってそれが良かったのか、大きな喧嘩をすることもないまま大人になった。
『三人の中で、一番結婚が早いのは、きっと蘭ちゃんだよね』
子供の頃からの予想通り、蘭は二十四歳のときに見合いをし、その相手と翌年に結婚が決まっていた。
当時、まだメイにも美奈にも、結婚を意識するような相手はおらず、新妻となる蘭をふたりでさんざん冷やかしたものだ。
ところが。
あと一ケ月で結婚式、という時期。
新郎となるはずだった男、高原和輝が、突然姿を消したのだ。
住んでいたマンションの荷物も、順調だった仕事も、すべてを放置して。
彼自身の両親、そして、婚約者である蘭、その家族や友人も手を尽くして探した。
だが、あれから三年が過ぎたいまでも、彼の行方はわかっていない。