やっぱり、できない-1
楓は一ヶ月後、仕事に行くふりをして真に内緒で桂太に会いに行った。優子段着ではなく、スーツ姿で化粧もデートするときの薄化粧ではない。
「内緒で来たわ。本当に不倫しちゃった」
桂太が楓のことをまだ信じていない。服装や化粧はいくらでも変えられる。それでも、桂太は楓とひさしぶりに会って、胸が高鳴った。
その間に桂太は楓への気持ちを隠して、優子とセックスはせずに前戯だけの関係を続けていた。
優子にフェラチオを教えた。最後は優子の口の中に射精するのである。優子には結婚するまでは挿入はしないと、できちゃった結婚は嫌で、結婚は大学を卒業してからしたいと優子には話していた。
楓は仕事が毎日忙しい。家事をしたり、育児をする母親としての役割をするには仕事を諦めなければならないだろう。
「そうね。でも、贅沢しなければ暮らせるはずだから、無理に私が仕事を続けなくてもいいけど」
優子は桂太と結婚したら「パートに出るかアルバイトをして共稼ぎするつもりです」とうっとりと未来を思い浮かべて話していた。
「楓さんは、なんで今の仕事を選んだの?」
「ふふっ、桂太君も大人の男になるために考える時期になってきたのね。私は父親がアンティーク雑貨の輸入会社を経営しているでしょう。だから子供の頃から時計とかアクセサリーとか家具を見て素敵だと思って育ったのよ。だから、小さい会社だけどそういうものを提供できたらいいなって」
桂太があの日の態度を責めたり、別れる別れないという深刻な話をせずに、ネットで話していたのと同じように話してくれるのが、楓にはありがたかった。
桂太が毎日電話してこなくてもいい、しばらく距離を置いて考えたい、楓の都合のいい日がわかったら連絡してくれたらいい、とメールをしてきて、会ったら別れ話をされるのだと気が重かったのである。
それは優子と会っていて、電話が鳴っても出なかったりすると不安にさせるだろうと、ふたまたをかけている桂太の隠蔽工作だった。
桂太は使用前のコンドームに小さな穴を開けてあるものを用意して、楓を待っていた。
楓を妊娠させてしまいたいと考えていた。
桂太の子を妊娠したら真はどうするかはわからないが、桂太は楓と子供を結婚して責任を取るつもりだ。
「俺、楓さんに会いたかったよ」
「桂太君、私も……」
楓を抱きしめて桂太が唇を重ねた。楓の唇の感触と舌を入れてくるディープキスの感触は桂太をすぐに勃起させて興奮させる。
楓は桂太に許されたと思っていた。
真から楓を強引な手段で奪ってしまおうと桂太がたくらんでしまうほど、恋をこじらせているとわかっていなかった。
楓は桂太とセックスするとき、コンドームをつけるから入れたいという提案を受け入れた。
真は桂太がいないとまともに勃起しない。楓も欲情すると入れてほしいという気持ちがあった。
それに相手が桂太なら、もしも妊娠してもいいと楓の中で桂太への恋心が燃えていた。だましたことのうしろめたさとそれを許して受け入れてくれた桂太へ、自分ができることならしてあげたいという思いがある。
桂太がコンドームをつけている間に、楓は牝犬のようにベットの上で這いつくばる。
「桂太君……きて、思いっきりしてっ!」
桂太が右手でぺニスを握り、左手で楓の肉の扉をひらく。綺麗な薄紅色の楓の牝の淫花に、桂太が陰唇の中心よりわずかに下に開いた膣穴にぺニスの先端を押しつけた。
ぴとっ……。
「あぁ、うぅっ……」
楓は小さくうめいた。桂太が腰に力を入れてぐいっとぺニスを前進させた。ぺニスは楓の淫花のわれめをこじ開き、奥へと滑り込んでいく。奥へ、ただ奥へ。
「あぁっ、はぁんっ……あーっ!」
桂太は根元まで楓の中にぺニスを深々と突き入れた。
楓の艶やかでなめらかな尻の丸みを、桂太がわしづかみにして指が食い込む。
パンッ、パンッ……。
桂太が腰を揺らして打ちつける音が響く。まだ桂太は女性の膣穴の締めつけや濡れ肉がからみついてくる快感に慣れていない。それはフェラチオとはまた異なる快感であった。
「すごい気持ちいいよ、楓さん」
「くうぅっ、うぅっ、あぁん、んふっ、あぅっ、あ、あ、あっ……んあぁぁっ!」
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!!
桂太のぺニスの先端が楓の奥底に何度も当たる。キュンと楓の膣が刺激に疼き、楓の表情が蕩けて唇が半開きになり、淫らな表情にかわっていく。
桂太のベニスが楓の狭い膣洞を激しく往復すると、楓はその刺激に自分の股間が熱く熔けてしまうような気がする。
「あぁっ、桂太くん、おまんこ、とけちゃいそう……いいよぉ、あひぃ、あんっ、あんっ、あぁん、気持ちいいよぉ、あぁん!!」
(もっと、もっと、もっと、もっと!)
楓の牝の本能が快楽を求めている。楓が腰をくねらせて、桂太を誘惑する。
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!
「くっ、楓さん、俺、もう……」
「ひあぁぁん、ああぁぁぁっ、イクッ、イクッ、桂太君っ、一緒に、ああぁああぁっっ!!」
桂太が射精寸前でぺニスを強引に淫花から膣洞を擦りつけながら引き抜いた。その刺激に楓が絶頂した。
桂太は楓をだまして孕ませることはできなかった。
コンドームの中にどぴゅどぴゅどぴゅと桂太のぺニスの鈴口から精液が勢いよく放たれた。
細工された避妊具の小さな穴から精液がこぼれる。
桂太は「俺には、やっぱりできない」とつぶやいた声を楓は絶頂の余韻で陶酔しきった状態て聞いていた。
「桂太君?」
穴あきコンドームを外して、ティッシュに包んで投げ込んだあと、桂太が肩を震わせて泣いていた。
「楓さん、ごめん……ごめん……」
桂太は穴を開けた避妊具を使ったこと、落ち込んでいた時になぐさめてくれた優子との関係、真に会って相談したことなどを、泣きながら楓に話した。
「軽蔑しただろ。俺って最低だよな……」
「桂太君、ちゃんと話してくれてありがとう」