告白された-1
半年前にアルバイトを始めた優子に、桂太はあれこれ教える担当のような役割を任された。
「先輩、ビールでいいですか?」
料理を作った優子が満面の笑みで缶ビールを手渡してくる。桂太は優子の勢いに押されて、ビールを飲みながら優子の作った料理をつまみに、優子の話を聞いている。
桂太が部屋にあるぬいぐるみのことを聞くと、ディズニーランドが好きという話やそのキャラクターのアニメの話など優子がうれしそうに話す。
「先輩の好きなことってなんですか?」
以前は携帯ゲームにはまっていたが、楓とつき合い始めてからは課金もやめて、雑談掲示板も毎日ではなくなった。
楓と楓の旦那の遠藤真と会って話したりしている時間が休日のすごしかたに桂太はなっていたのだ。
「前は携帯ゲームをやってたって聞いたんですよ。でも、最近は飽きたって……」
「あっ、おばちゃんだな、そうゆう情報を北野に教えるのは」
「正解でーす」
優子が頬づえをついて、にこっと笑う。おばちゃんとはアルバイト先の古株パートさんである。
「先輩がすっごい美人とおつきあいしてたのも、私、知ってるんですよ」
「すごい美人?」
「私みたいに幼児体型しゃなくて、モデルさんみたいにカッコイイ大人な感じの美人さん」
楓のことにちがいない。
「先輩、自分で気づいてますかぁ。一週間も元気がない感じで、いつも何か考えごとして、たまに、はーってため息ついてるんですよ。彼女さんと喧嘩でもしたんですか?」
桂太はつき合い始めた頃は、楓のことを彼女だと思っていたが、人妻だとわかってセックスフレンドか愛人のような感じである。
もう一週間か、と桂太は思った。
「相談とか愚痴ぐらいなら私が聞いてあげますよ」
どうやら優子は桂太を心配してくれたらしい。
かといって、優子に何があったか全部話しても解決するとは思えない。答えは自分で見つけなければ後悔するだろう。桂太は楓に片思いしているだけで、でも未練たっぷりで意気消沈していると思っていた。
「誰かをずっと変わらず好きでいるのって、なんか疲れるよな……」
桂太は酒が強いほうではない。酔いもあり、ぽろりとそう言ってしまった。
「そうですね」
一瞬、優子の顔から笑顔が消えた。しかし、すぐに笑顔を作る。
「先輩、私、好きな人いるんですよ」
「そうなんだ……がんばれよ」
「がんばってもいいんですか?」
優子は二人で食べ終わった食器をテーブルから運び片付け始めた。桂太も皿や飲み終えた空き缶などを手伝って運ぶ。
「先輩、耳まで真っ赤ですよ。私がやりますから、お客さまは、ゆっくりしてて下さいね」
「ありがとう、じゃあ甘えさせてもらうよ」
優子は少し泣いてしまいそうな気分だった。桂太が悩んでいると感じた。そして、すぐそばにいる優子のことを恋愛対象として意識してないと思ったからだ。
「北野、ごちそうさま。バイト代が入ったらおごるから、なにか食べたいもの考えといて」
優子が洗い物が終わるとテレビを見ていた桂太が立ち上がった。
「先輩、ちょっと酔いをさましてから帰ったほうがいいかも。アイスあるんで一緒に食べましょうよ」
桂太は今夜は優子も一人でさみしいと思う夜なのかな
と考えて「そうだな、北野が酒飲めるのは意外な感じがする」と言って座った。
「うちの家系ってどっちもお酒強いんですよね。遺伝なんだと思いますよ」
桂太が「んー、うまい」と言って、バニラとストロベリーのミックスのアイスを食べているのを見て、くすりと笑った。
「先輩、甘いもの好きなんですね」
「苺の甘酸っぱい感じがバニラの甘さと絶妙な感じで美味しいな、これ」
「お風呂上がりとか、お酒を飲んだあとはアイスっておいしいですよね」
優子は桂太の隣に座ってアイスを一緒に食べながら、テレビを見ている。
飲んで食べているときは饒舌だった優子が、微笑を浮かべておとなしくテレビを見ている。その横顔を桂太が見ていると優子が視線に気づいて顔を上げる。
「先輩……」
優子はそう言うと手をのばして桂太に抱きつくと、目を閉じて唇を重ねてきた。柔らかい唇とストロベリーアイスの味のキス。
「私、先輩のことが大好きです」
そう言ってもう一度キスしてきた。
「ん、ふぅっ、んっ……ふあっ」
桂太が優子の口の中に舌を入れて、ディープキスをした。優子がうっとりとした目になっていた。
優子がぼおっとしてしまい桂太に抱きついたままじっとしている。
桂太は楓にディープキスをされた時のことを思い出していた。桂太が優子の髪を優しく撫でる。
「あ、んんっ、はぁ、はぁ、んっ!」
桂太は優子をゆっくりと押し倒すと、優子のみ耳を甘噛みしたあと、ほっそりとした首すじに唇を這わしていく。
優子の小振りな乳房のサイズは、桂太の手のひらにちょっとだけはみ出るだけて、かなり揉みやすい。
シャツの上から乳房を揉まれた優子がビクッと小さく震わせて「先輩、あぁん、んぅ、あっ、んっ」とせつなげな喘ぎ声をを洩らした。
桂太は頭の中で楓の積極的な感じを思い出してしまっている。優子は桂太にされるがままという感じで愛撫を受け入れている。
(俺も楓さんに愛撫されてるときって、やっぱりこんな感じだったのかな)
優子の服を愛撫しながら乱れさせていく。
少女のような容姿でラフで可愛らしい感じの服装が乱れて、桂太の下で恥じらいながらも、小さな喘ぎ声を洩らしている唇や頬を染めて眉を寄せて目を閉じている表情が艶かしい。
桂太の体を愛撫してくるわけではなく、優子は快感に身悶えていて全てをゆだねきっている感じである。
優子のスカートからあらわになった生足の太股のあたりを、桂太が撫で上げると、恥ずかしいのか脚を閉じようとする。
「嫌ならやめるけど、どうする?」
すると、優子は目を潤ませて桂太にしがみつくように抱きついてきた。
「あの、先輩、私、こういうことするの、初めてなんで、ちょっとこわいんです」