のぼせた-1
楓が待ち合わせしたファミレスに少し遅れてきた。
桂太が思っていたよりも、楓はずっと美人だった。
「カエル?」
「ええ、カエルです」
携帯のソーシャルネットゲームで雑談や攻略の掲示板がある。山崎桂太は「幻想英雄伝エクスカリバー」という、いわゆる課金カードゲームを一年ほど続けていてバイト代から月に一万円ほど課金していた。
遠藤楓は桂太がゲームをやり始めた頃からいろいろ教えてくれている先輩プレイヤーだ。
毎月三回のイベントでそのたびに新作キャラクターのカードが増えていく。能力値がそのたびに上がっていく。カードイラストも最近は他のゲームも似たようなものが増えてプレイヤー離れが目立ち始めた。
そんなゲームだが、桂太は課金してカードを集めたので未練たっぷりで続けている。
ゲームプレイヤーが集まるコミュニティという掲示板があり、その雑談板で雑談するのが桂太の日課になっていた。
楓というのはハンドルネームだと思っていたが、それは本名だった。
「桂太君はカエルっていうハンネで、本名とちがうもんね」楓はそう言って笑った。
掲示板で映画の話や食べ物の話やマンガの話をしていて、オフ会ということで連絡が来た。
でも、本当はオフ会ではなく楓は桂太だけに連絡していた。「だましてごめんね。でも、他の人とかと会っても話とか合わないと気まずいでしょ?」
楓は積極的だった。
「映画かっこよかったね」
「うん、俳優選びが正解。いいんだよね」
二人で映画をみて、感想を居酒屋で焼き鳥をつまみながら飲んで話をした。ほろ酔いで居酒屋を出て、桂太が帰ろうとすると手を握って「もうちょっと一緒にいたいんだけど、ダメ?」と楓は言った。
二人でネットカフェに行った。楓と二人で、フラットルームでネット動画をみていた。
「ちょっと気になるんだけど、ずっと桂太君、私に敬語なのはなんでかな?」
「楓さんはネットと同じ感じですね。いや、ちょっと緊張しちゃって……」
「私だってそうだよぉ、カエルっていうハンネだから本当に見た目がカエルっぽかったらどうしようと思ってたけど、見た目が普通っぽくて安心した」
「カエルっぽい人?」
「んー、太ってて背が低くて、顔が大きい感じ」
楓は別のネットゲームでオフ会に行ってみたことがあるらしい。ジーパン、アニメキャラのプリントされたシャツ、数日前に買ったと思われるスニーカー、髪型は短髪かちょっと長め。体型は太め。そんな男性が四人。女性二人も服装は、雑誌をみてまねしようとして失敗している感じ。あまり人と話すのが苦手な感じの子たちだった。楓は、その中でいわゆるアウェイな感じだったらしい。
「オフ会なんてもういいや、と思っちゃった」
楓はオフ会というより合コンとかにいそうで、気さくに話して人気があるタイプだと桂太は思う。
桂太は中学、高校とサッカー部でみっちり鍛えられて太っていない。体つきは中肉中背。
「桂太君は、どんな人が来ると思ってたのかな?」
「もっと地味な感じの人」
「えーっ、私、化粧とか服装とか派手じゃないじゃない。地味なほうでしょ?」
スタイル抜群で、顔立ちも美人だと桂太は実はどきどきしている。楓は桂太より三歳年上の二十二歳。
楓は桂太に「私のこと、どう思う?」とか「桂太君、彼女とか本当はいるんでしょ?」と聞いてきたので、彼女はいないことを話した。
「ふぅん、ねぇ、じゃあ私の彼氏になってよ」
楓はそう言ったので桂太が驚いて黙って見つめると、少しうつむいてもじもじとしていた。
「俺でいいんですか?」
楓はキスをしてきた。桂太は興奮して少しくらくらとしてしまった。二人はラブホテルに行って泊まった。
桂太は実はまだ童貞だった。桂太が先にシャワーを浴びていると楓が浴室に入ってきた。楓がくすくすと恥ずかしがる桂太を笑いながら、浴槽に湯ばりする。
「ふふっ、なんか桂太君かわいい。お湯の温度はこのぐらいで平気?」
「うん、ちょうどいいと思う」
キスされたあと「彼氏なんだから敬語禁止」と言われて気をつけながら返事をする。
楓の豊満な形のいい乳房や、女性らしいボディラインや色白な柔肌をちらちらと見てしまう。
「んっ……」
浴室で抱き合ってキスをする。裸で抱き合うと楓の肌ざわりや鼓動まで伝わってきて桂太は痛いぐらい勃起してしまった。
「私、体、洗っちゃうね。おふろ、お先にどうぞ」
「はい」
「こらっ、敬語禁止」
楓はそういってまたキスをした。
お湯につかりながら、楓のシャワーが浴びて、体を泡だらけにして洗っているのを見ていたら桂太はのぼせそうになった。
「おまたせ」
楓が浴槽に入ってきて、桂太に背中をあずけてもたれかかる感じで二人で入る。
「桂太君……」
「ん?」
「オッパイさわってもいいよ」
桂太はおずおずと楓の豊満な乳房を両手でつかんでみると、柔らかくて思わず「すごくやわらかいな」と思わず言うと楓が「桂太君、なんかおとなしいのにエッチ」と言う。
桂太はあまり強くつかみすぎると痛がるかと思い、慎重にオッパイを揉んでいる。だんだん楓の息づかいが早まってくるのがわかる。
「あっ……」
「ん、なぁに?」
「な、何でもないよ」
「えっ、ちょっと気になるんだけど」
楓の乳首が勃ってきたのが桂太にはわかったのだ。
桂太がしかたなく正直に「いや、その、乳首が」と言うと、楓は「桂太君のだって、私のおしりにあたってるよ」と乳首が勃ったことを言われて恥ずかしくなったのか言い返してくすくすと笑った。
「俺、少しのぼせたから、もう上がるよ」
桂太が言うと「じゃあ私も出るよぉ」と楓が浴槽から立ち上がる。桂太は本当にのぼせてしまい、ふらついて楓に抱きついてしまった。
「……あ、ごめん」
「ちょっと、大丈夫」
桂太は風呂から上がって、バスロープ一枚でベットで仰向けになって少し休んだ。
「はい、お水」
「ありがとう」
「私、なんか看護婦さんみたい」