作-6
「ドキドキした?」
息が整わない中でそれでも無理やり私を引きはがして
そんな事を聞いた。
「ドキドキしたよ。もっとして」
「それってどういう意味か分かって言ってんの?」
「もちろん・・・分かってるよ。山崎は?ドキドキした?」
「お前さ・・・後悔すんなよ?」
「しないよ」
「条件、結婚の条件。どうすんだよ」
顔の輪郭を優しくなぞりながら
不安な顔をして私に聞いた。
「山崎、浮気する?」
「しねーよ」
「お金の使い方荒い?」
「荒くねーよ。経管は無駄遣いをして遊ぶほど暇じぇねぇ。それに・・・
結婚したら井上が管理すればいいだろ」
「ん」
「あと・・・・」
「あと、なんだよ。早く言えよ。キスしたいんだけど」
「あと。私の事好き?」
そう聞いた私の顔をビックリしたようにみた。
「とことん、鈍感な奴だな」
「え・・・・」
「俺がお前を好きなことは、お前以外の全社員が知ってるらしい」
「なに・・・それ」
「俺はもう、3年も片思いしてるんだよ。美咲に」
「―――っ!」
そう言い終わるのが早いか、山崎は私にもう一度濃厚なキスをした。