あなたは調教士(2)-1
低重力が可能にする巨乳――いや、爆乳の女たち。
測ったわけではないが、少女であるこのミドリ・オリョーフですら、Mカップとも、あるいはその上のNカップとも聞いている。
(あのルリアときたら‥‥)
背丈の高さもあって、カップは聞いてないが、バストサイズの見た目は――。
(ミドリをはるかに上回っている。一二〇センチは超えてるんじゃなかろうか‥‥。測ろう、そのうちに)
だが、それは、そのうちだ。残念ながら。
「ジャニスさまでしょ、今日からのお仕事は。あの人のことだけ考えたほうがいいんじゃないの?」
ミドリがしれっと正論を言った。
そう、今日これからの――そして、おそらく当面のあなたの
ジャニスさんは、この三人で一番年長で、ふたりに較べれば普通の人と言えるだろう。ジャニス・プラスケット。しとやかで女性らしく、面倒見がいい。
この世界へ「召還」されたばかりのあなたの世話を焼いてくれ、それはいまも続いている。
実は、服の上からだが、すでにそのやわらかい豊乳、いや巨乳、いや爆乳には、触らせてもらっていた。
彼女はにっこり笑って受け入れてくれ、自らあなたの手を導いて軽く揉ませてもくれた。
あのときは、拘束ブラではなく、普通のブラジャーだった。サイズは優に一〇〇センチは超えていたと思う。
(このミドリと、どっちが大きいだろう‥‥)
女騎士ルリアは別格として、彼女やミドリぐらいの爆乳が決して飛びぬけているわけではないのが、この
あなたがこの世界へ「召還」された理由は‥‥‥‥。
「頑張ってよ、調教士」
そう、彼女たちを――おもにその
凝った装飾の大きな扉が、あなたとミドリの前にあった。
扉は自動式で、中へ入りミドリが閉じていることを確認、壁の機械を操作した。すぐにアナウンスがあった。重力が約1G、つまり地球のそれとほぼ同じになる旨の。
ヴィーン‥‥というような低い音がして、すぐに重力が増えるのを体感する。
巨乳は‥‥と思って見ると、ミドリは羽織った赤い軍服の上衣の裾から、バックルの横のあたりに手をやって、何かやっている。
マグシューを操作する小さな機器を外して、壁の置き場所に置いているのだ。
これもほとんど無意識という感じだ。
おっぱいに気を取られている場合じゃない。この環境には、生まれてからずっと住んでいる彼女たちのほうが、はるかに慣れているのだ。あなたも彼女に倣った――とはいえ、やはり胸は気になった。
ミドリの胸は型崩れせず、そのままだ。やはり拘束ブラをつけているようだ。さっき鷲づかみにしなくてよかった――いや、そういう問題じゃないか‥‥。
またミドリと目が合った。呆れたようで、背を向けられてしまった。
変更室(重力変更室)から出て、また長い廊下をふたりで歩き、角を曲がると白いバルコニーがあった。自然光のように工夫された光が
また廊下に入り、少し歩くと、凝った装飾の大きな扉が、再びあなたたちの前に構えていた。
あなたの胸も高鳴ってきていたので、最初が肝心と格好をつけて入ろうとしたが、ミドリは開閉スイッチで扉を開け、すたすたと入っていってしまった。
まったくあの女、いつか調教してやる‥‥――いや、そのうちそうする
予想通り、部屋にはふたりがいた。
女騎士ルリアと、当面の調教相手、メイドのジャニスさん。
ルリア。ルリア・ミアヘレナ‥‥。
彼女の“騎士”というのは――ミドリは、彼女がそう呼ぶように「ルリアさま」、せめて「ルリアさん」と呼べとあなたにも言うのだが――その凛々しい出で立ちから来るイメージによる通称であって、地球の言葉で言えばその職種は、軍人、だろう。
もっとも、あなたはさほど知識はないが、近代以前の軍属、という感じだ。
軍属――“軍隊”といっても、あなたも最初聞いてからしばらくして実態を知り拍子抜けしたように、このルリアのような正統派タイプはごく少数で、流れ者の女やら、一応は「志願兵」という肩書きの普通の女の子――ミドリがそうだ――等々、武器や兵器には素人のあなただが、正直言ってこれで大丈夫か、といった寄せ集め感が強い。
軍規もゆるいようで、ミドリなどはいまそうしているように軍服をラフに着ていたりする。また、これもあなたは詳しくはないが、そもそも職業軍人ではなく傭兵の集団らしい(ただし、ルリアは職業軍人だそうだ。真偽は確かめていない)。
ジャニスさん、ミドリも巨乳だったが、女戦士ルリア・ミアヘレナは、群を抜く、はちきれんばかりのバストの持ち主だった。背はすらりと高く、これも聞いてはいないが、一八〇センチは超えているように見える。あちこちが跳ねた髪はミドリよりは長めだが、やはりショートの部類に入る。瞳は、せつなげで、線の細い、どこか美少年めいた中性的な魅力の容貌だ。ミドリのみならず、女のファンが多いのも頷ける。もっとも、本人は煙たがってるようだが。