爛熟女子寮（７）-1
こうして同期４人は『結ばれ』た。絆というほど大げさなものではないけれど、私たちが一糸まとわぬ姿を見せ合って経験したことは紛れもなく稀有なことであり、秘密を共有した意識があった。中でもディルドでバージンを棄て去った玲奈と絵理の存在は愛しさに加えて妖しい悦楽を伴って私の心に刻み込まれた。私たちは互いに束縛しなかった。何かの取り決めをしたことはなかったし、誰と何をしても自由だった。
（きっと４人一緒だったからだ……）
私はそう解釈していた。もし１対１の関係だったら、独占したい欲求や嫉妬も湧いて、却ってぎくしゃくしたのではないかと思う。
それからひと月ほどの間に交流のサイクルが落ち着いてきた。
私は時々美和子と甘美なひと時をすごした。サリ―も由希と仲良くしている。彼女たちは相当激しいようで、一度など朝まで離れなかったことがあったという。
「終わりが見えなかったの」
次々と頂が連なって、
「イッタと思ったら、またふわふわと舞い上がっていく感じがやってくるの」
「感じやすいのね」
「白幡さんとフィーリングが合うのかしら」
「やっぱりディルド？」
「そう。アナル用もあるのよ」
少し細くて、球体をつなげた形で、出し入れの刺激が何とも言えないという。
「私はそういうの、無理かな」
「そうでしょう。白幡さんに言っておいたわ」
私の性的嗜好が相容れないものだと伝えておいたという。美和子からもそんなことを聞いたけど、いまになって由希からの誘いがない理由がわかった。
お風呂での役割もはっきりしてきた。由希の体を洗うのはサリー。美和子は私。玲奈たちは自分で。……自然とそうなっていった。セックスの関係がなくなれば接触もなくなる。結局、まとまりだとか、親密になるためとかいってもセックスに直結した行為だったのだから当然ではある。
結果的にそれらが明確になってよかったと思う。相関図がはっきりしたことは余計な気遣いをしなくて済むことになる。下條さんは私と、サリーは白幡さん。もちろん下條さんと白幡さんは深くつながっていただろう。
玲奈と絵理は風呂場ではのけものみたいな立場になってはいたけど、気持ちはすっきりしていたようだ。私は２人の変化を感じ取っていた。体を合わせる毎に敏感になっていく玲奈と絵理。
「あたし志乃ちゃんがいればいいの」
２人ともそう言ってくれる。どうもサリーは激しすぎてついていけないらしい。
５月の末のこと、夕方美和子が部屋を訪ねてきた。初めてのことなのでびっくりして招き入れると、
「志乃だけに内緒の話なの」
そう言って私を抱き寄せて軽くキスした。
「明後日の日曜日、午後空いてる？」
「はい……」
別に予定はなく、楽器の練習をしようかと考えていた。
「あたしの練習室でピアノを弾いてみない？」
美和子はアップライトのピアノを入れている。苦手なのでわざわざ持ち込んだと聞いていた。
「２時頃、どう？」
「はい……」
答えたものの、気が進まなかった。ピアノは５歳から習っていたからそこそこは弾けるけど、あまり好きではない。どうせならホルンでアンサンブルをした方が勉強になるのに。
提案しようかと思っていると、美和子の口元が意味ありげに弛んでいるのに気がついた。
「１時にね、調律師が来るの」
「……そうですか」
「それで、調律が終わったら試弾するの。志乃も弾いて」
調律後に試し弾きをして不具合があれば微調整をしてもらうことはある。だがそれに立ち会う興味はない。正直いって面倒だと思った。第一、音の良し悪しなんてよくわからない。
何か断る口実はないかと考え始めた時、
「誰にも言っちゃだめよ」
２人しかいないのに肩を抱いて声を落とした。
話を聞いて耳を疑い、美和子の目を見て冗談ではないと知った。
（調律師とセックスする……）
「たまには生もほしいじゃない？」
笑いながら言う。
（どういうことなのか……）
その調律師との関係は美和子の先輩から引き継いだのだという。
「彼氏なんですか？」
「ちがうわ。もうおじさんよ」
４０代の男で、先輩とどういう切っ掛けでそうなったのかはわからない。
美和子はベッドに座って私の手を引き寄せた。
「年に一回の関係なの。外では絶対に会わない。言っておくけど、白幡さんもこのことは知らないの。いいわね」
美和子はまたキスをしてきた。今度は舌が入ってきた。胸を揉まれるに及んで湿潤した。私も彼女の乳房をゆっくりと揉み、そのままベッドに倒れていった。
（ああ……まだ夕方なのに……）
誰かの話し声も聞こえる。
美和子のキスは濃厚。少しずつ横抱きの形から美和子が上になっていき、不意に下腹部に手が入ってきた。
「だめ、洗ってません」
「いいの」
「だって、汚れてる」
「志乃のにおいなら平気」
（困る……）
昨夜はたまたま億劫になってお風呂に入っていないのだ。でも、抗う間もなくまっすぐ亀裂に指が入った。
「く！……」
ぬるっとクリトリスを通過した瞬間の快感に息が止まった。
指はあくまでもやさしく陰唇をなぞっていく。
（ああ、力が抜ける……）
内部を掻き出すように陰裂は愛された。
「美和子さん、私も」
美和子はいったん手を抜いて自分のジャージを膝まで下げた。全部脱がなかったのは本格的ではないということだろう。でも高まりは同じことである。
「ふふ、志乃のにおい」
美和子は指を嗅いで言った。
「いや、恥ずかしい」
恥ずかしさが積極的な行動になった。美和子に抱きつくといきなり指を差した。
「あうう」
膣壁をえぐって指を抜くとにおいを嗅いだ。つんと鼻をつく酸化臭。
「志乃、だめ」
「美和子さんだってしたわ」
「ああ、志乃」
私たちは挿入し合ったまま横向きで抱き合った。汗が滲む熱い体は到達の星を見つめていた。