爛熟女子寮(7)-2
玲奈と絵理は日に日に熟していく感があった。求め方も貪欲になって私が煽られてしまうこともしばしばだった。
絵理のお気に入りは足指の間を舐めることだ。
「お願い。ちょっとやってみて。きれいに洗ったから」
言われて舌を差し込むと、
「くっ、くっ」
声を押し殺して懸命に耐える。その苦しそうな顔と全身の突っ張りを見ていると気持ちいいのかどうかわからなくなってくる。
順番にねっとりと舐め、足裏にも丹念に舌を這わせる。
「初めはくすぐったい」のだそうだが、耐えているとほどなく愛液がじゅっという感じで滲んでくる。そうなると快感が広がってくるというのである。
両足を舐め終わると、
「もっと、もう一回お願い」
濡れた半開きの口で言われて、仕方なくさらにワンセットを繰り返す。
「沁み込んでくるような気持よさ……」
「こんなこと、どこで知ったの?」
「小説で読んだ」
ふうふうと息を乱しながら言った。
「小説なの?」
可笑しくなって思わず笑ってしまった。
玲奈も彼女なりの上昇の方法を見つけていた。おへそと恥丘の中間あたりを舌で回転させながらゆっくり舐めるのである。そこがすごく感じるという。同時に両手は乳房を愛撫するのだが、
「絶対に乳首に触らないで」
いいと言った時に乳首をつまんで、すぐに舌はクリトリスに移ってほしい。注文が細かい。言う通りにすると凄まじい痙攣をともなって達した。
(なに、これ……)
跳ね上がる体を見ながら初めは声も出なかった。
「こんなに気持ちいいなんて知らなかった」
イッタあと、息を弾ませながら言うのだった。
オナニーで『イッタ』ことはあったようだが、それとは衝撃がまるでちがう。
「あれはイッタのとはちがうのね」
それに相手がいるから、まさぐるうちにふたたび覚醒してくる。
「何回もイッチャう」
『イク』という言葉を何度も使った。
女の感じ方、セックスは男と女とは異なるものなのだろう。体のつくりがちがうのだから当然といえば当然である。私は経験が少ないから深いことはわからないけど、男は射精しれば終わりだけど、女の絶頂は断崖絶壁を飛び降りておしまいってわけではない。意識が飛んでもまだ漂っている感覚が長く尾を引いている。だから新たに刺激を受ければまた浮かび上がることも可能である。
しかし、いつでもそうなるとは限らない。体の調子、妄想の広がりなど、それらがうまく合致した時に極限状態で破裂するのだと思う。燃えあがって狂喜していても女のセックスはデリケートなのだ。だから強引だったり、一方的にされたりすると燃え切らないことになる。女同士の良さはそこの加減というか、呼吸が合うところがとてもいい。
絵理と玲奈はときおり2人で愛し合っているようだ。肌を合わせる度に新たに花開く女体の神秘。求め合い、確認し合っているのだろう。だが、心配なこともあった。
(彼女たち、本当の同性愛になってしまわないかしら……)
男性を知らないまま女同士の悦びにどっぷり浸かってしまって偏った性癖にならないものか。
男性に興味を失ってしまったら人生も変わってしまうだろう。私もサリーも異性を知っている。その上で新境地を愉しみ、快楽を味わっている。少なくとも私はそうだ。あくまでも女子寮という小さな世界で、横溢する性欲を発散する手段である。たしかに男性からは得られない深い快感に酔いしれることは多々あるけど、欲求の源は異性にある。そこへの関心、意識は常にある。
バージンを棄てたといっても彼女たちは真の意味ではまだ『処女』なのだ。
(大丈夫とは思うけど……)