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贖罪
【ホラー 官能小説】

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性宴-1

綾音がぺニスをつかみ出すと、それはしだいに形状を変えていった。
蛇ぺニスになった直樹の性器は、綾音の体にするりと巻きついていく。
「あぁっ……」
直樹は浴室で仰向けに押し倒たまま、綾音が変化したぺニスを抱きしめて撫でまわし、舌を出して舐めまわす姿を見つめて身動きできなかった。
声はかろうじて出せるが、金縛りにかかってしまっている。
脚から這い上がり綾音の上半身に絡みついて胸の谷間の間を通り、その先端で綾音の口を犯している蛇ぺニスのおぞましさ。そして自分から乳房を寄せ上げて、直樹の腰の上で騎乗位のような姿勢でパイズリとフェラチオを同時にしている綾音の妖艶さに直樹は目を奪われた。
「んふぅ、んっ、むぐっ、ちゅぷ……」
綾音の柔肌や乳房の弾力のある感触、さらに先端は綾音の唇と舌と頬の内側の感触が、直樹の変化したぺニスを刺激する。
綾音は自分から積極的に求めてくることはなかった。フェラチオもあまり好きではなく、クリニングスも最近はさせてくれるようにはなったが、恥ずかしがって長くはさせてくれない。
そんな綾音の積極的な痴態に直樹は金縛りになっている恐怖もあるが、それ以上に胸が高鳴り、興奮してしまう。
直樹は限界が近づいているのを感じ、綾音が潤んだ瞳で直樹の目を見つめた瞬間に射精した。蛇ぺニスが鼓動に合わせて脈打ち、綾音の口の中にありえないほど大量の白濁を放った。
「うぷっ、けほっ、けほっ……」
綾音が飲み込みきれずにぺニスの先端を口から離してむせる間も射精は続き、綾音の柔肌を白濁まみれにしてしまう。
直樹は射精が始まると腰を突き上げていた。金縛りが解けていた。長い射精が終わるまでは起き上がることができなかった。
全身に気だるさを感じながら直樹が上半身をゆっくりと起こすと、綾音が抱きついてきて、直樹は綾音の火照った欲情した体を抱きしめた。
綾音が唇を重ねてきて、舌を入れてきた。
直樹は綾音の舌に自分の舌を絡めて、ディープキスの感触に酔いしれた。
綾音に巻きついていた蛇ぺニスはほどけて床でだらりとのびていた。
直樹はディープキスを終えて、綾音の瞳を見つめた。
すると、急激なめまいと同時に、瞳に吸い込まれてしまったような感覚が起こった。
直樹が目を閉じてしまい、しきりと遠くから直樹を呼ぶ声がする気がして「うぅ……」と呻いて、しだいに意識が戻ってくる。
「ここは……」
朝方か夕暮れかわからないような色に染まった薄明の世界。太陽も大地もない一色の世界。
直樹は自分の手を見つめた。そして体を見つめた。全裸で漂っている。
「なんだ、あれ……」
漂うその先に見えてきたのは、巨大な貌であった。途方もなく巨大な口を開いた醜悪な異形の貌。
人の大きさよりも巨大な両目の間のひたいにも三つ目の縦に裂けた目がある。頭部には髪はないが黒山羊や牡羊のような角が大小いろいろあるが生えている。
開いた口には鮫のような牙が無数に並び、果てしない暗黒への入口のように開いている。
直樹は呼ぶ声がその口の中から聞こえてくることに気がついた。その貌だけの怪物に近づいていくと、いつまでも止むことなき恨みや呪いや苦悶や絶叫が直樹に襲いかかった。直樹は思わず両手で耳をふさぎ、目を閉じて頭をふった。
頭の中をからっぽにしたかった。この怨念の塊のような大音声に呑み込まれて死んでしまうのではないかと感じた。憤り、後悔、悲しみ、そうしたどろどろとしたものが声にこもっている。
耳をふさいでいても聞こえてくるその声の中に、綾音の直樹を呼ぶ声が今にも消えてしまいそうだが、たしかに聞こえるとわかったとき、直樹は目を開き、両手を耳から離した。
すでに直樹の体がその怪物の口の中へ吸い込まれようとしていた。
「うわあぁぁっ!」
直樹が叫び声を上げる。
次に直樹が見たのは暗闇の中で、灰色の肌をした腕のやたらと長い幼児ほどの猿のような顔のもの、紫色の斑点が浮か骸骨のように落ち窪んだ光る目をした怪物が綾音を追ってとらえようとする瞬間であった。
「綾音!」
直樹が必死に走り手をのばすが、スローモーションのように綾音のそばにたどりつけない。
直樹の脇を何かがすり抜けていく。
綾音がしゃがみこみ怪物どもが悲鳴を上げた。
それは無数の鴉の群れであった。
直樹がたどりついたとき、鴉の群れも怪物どもは消えていた。綾音に手をのばし、直樹の手を綾音がつかんだ瞬間、二人は闇の中から弾き出されていた。
二人は巨大な貌が小さな点となり離れていくのを見たのだった。
二人は浴室で抱き合って泣いていた。
綾音はもう奇妙な夢をみることはなくなった。
変わったことは、直樹はセックスをするときにぺニスが蛇のような触手ぺニスに変化するようになったことである。
「直樹っ、んあぁっ、んっ、あぁ……」
あとは綾音が、直樹とのセックスに積極的になったことであった。
もしも、あなたが奇妙な八角形の碑を見つけたからといって、手を触れたり、その前で何かを強く願ってはいけない。
ヤクザが海へ、海神クトゥルフに綾音と同じ名前の女性を偶然だが捧げた。妻を愛していた男が碑に祈って命を捧げた。そのために直樹と綾音は、あちら側に呑み込まれないですんだのだ。
全ての夢はアザトースの夢でつながっている。

[完]


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