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贖罪
【ホラー 官能小説】

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視線-1

誰かに見られている気がするのに最近は慣れてきた。
直樹と結婚と同時に3DKの二階建てアパートに転居した。直樹の親戚が不動産屋で、会社まで通勤に四十分ほど、最寄駅からさほど離れておらず徒歩十分。最大の魅力は、身内ということで格安の家賃であることである。
綾音はそれほど神経質なほうではないが、部屋に自分しかいないのに、誰かに見られている気がする。それを直樹に話してみても、気のせいだろうと笑うのである。部屋に一人でいることが直樹はほとんどない。
それに一緒に歩いていて、直樹が振り返ると野良猫がいて、こちらを見ていたということはよくある。直樹のほうが音や視線には敏感なほうなのだ。
綾音は寝入っていまうと、隣で寝ている直樹が夜中に目をさましても気づかないことが多いが、綾音が目をさますと、直樹も目をさますことはよくある。
昼間に部屋に一人でいて、誰かに見られている気がするが誰もいない。カーテンを閉めてみてもあまりかわらない。窓から誰かに見られているというよりは、部屋に誰かがいて見ているような感じがする。
結婚して二年目でだいぶ慣れてきた。部屋がいわくつき物件で、幽霊が出るというわけでもない。ここは新築のアパートで部屋を他人が使ったことがない。綾音は無視することにした。直樹といると視線を感じることはない。
テレビをつけてみたり、掃除機をかけてみたり、趣味の携帯ゲームをしてみたりすることで気をまぎらわせていた。
この部屋は閑静な住宅街の中にあり、結婚前に暮らしていた古い1DKの部屋のほうが道路が近く、壁が薄かったりして隣の物音がもれてきたりしていたのだから、静かな部屋になり逆に落ち着かないだけなんじゃないかと直樹に言われると、そうかもしれないとも綾音も思う。
「んっ、あぁっ、はぁ、はぁ、直樹っ、んんっ……」
昼間にリビングで仰向けに寝そべり、綾音は自慰をするとき、視線を感じると興奮する。シャツをめくり上げて、ブラジャーもずらして乳房を出す。
乳首を自分でつまんでみたり、指先で転がして恥ずかしいぐらい勃って来ると、恥丘のわれめを下着の布地ごしに撫でまわしていると、じわっと愛液の湿り気が滲んでくる。綾音は眼鏡を外してテーブルに置いて、オナニーする。視界は少しぼやけている。
直樹がセックスしたいときは、キスをすると綾音の眼鏡を外してしまうのが合図のような癖だった。視界が多少ぼやけて、ぼんやりとしている綾音が愛撫されているうちに目を閉じて、息づかいが乱れたり喘ぎ声を洩らし始めるときが、直樹にはたまらないらしい。
直樹が挿入してきて腰を揺らすのをいきそうになるのを我慢しているのか、抜かずに少し中断して、見つめ合ってからキスをしてから激しく突き上げられたり、バックから綾音の腰のあたりをつかんで激しくピストン運動しながら、耳まで真っ赤だよとか、すごくやらしい顔になってると囁かれるとたまらない。
もっと感じているやらしい姿を見ながら、直樹も気持ちよくなって、そのまま中に出してほしいと綾音は思う。好きという気持ちがあふれて止まらなくなる。
指先を下着の中にそっと入れると、われめをまさぐりクリトリスを弄り、それから熱く潤んだ陰唇を弄り、直樹がもうイクっという限界に達する寸前の声を思い浮かべながら指先を膣内に入れて弄ると、くちゅ、くちゅくちゅくちゅ、と卑猥な水音を響かせて綾音は小刻みに内股を震わせて、やがてぐったりと脱力した。
この部屋に引っ越してきてから綾音はオナニーの回数が増えた。直樹は綾音とのセックスに満足しているのか、こっそりトイレで自慰しているのかはわからないが直樹は変わらない気がする。休日になると直樹はしたがるので、月に四回ぐらいは普通にかまってしてくれる。
直樹はパチンコが趣味で会社帰りに打ちに行くことが多いが、休日は家にいて、昼間から綾音にじゃれついてくることもある。綾音が生理のときは、ベットで寝そべっている綾音の服の上から下腹あたりを優しく撫でてくれる。女の人って毎月大変だなぁ、と言いながら。
直樹の仕事はゲーム制作会社の社員で、綾音は結婚して退社したが直樹が新入社員で入社したときに教育担当をしていた。
結婚するまで綾音を先輩と直樹は呼んでいた。つきあうことになったのは、直樹が告白してきたからだったが仕事を一緒にしている間も綾音のほうが直樹を気に入ってしまい、恋愛感情を隠すのは大変だった。
直樹が仕事を持ち帰ってきても、綾音がサポートできるので直樹は他の社員よりも仕事は早い。綾音は元主任で仕事ができる社員で結婚して退社するとき、直樹が主夫で家事をして、綾音が会社に残ってほしいと上司に冗談を言われた。
直樹は仕事の愚痴はこぼさないが、仕事の相談やアドバイスを綾音に求めるは結婚前から変わらない。大学を卒業して入社した直樹と、高校生の頃からゲーム制作会社のアルバイトをして高校卒業後にすぐ入社した綾音とでは、現場の経験と技術で比べられないほど差がある。
直樹は痩せていて背が高い。
学生の頃にバスケットボール部で鍛えた体つきは、着痩せするぐらい引き締まっている。物静かで落ち着いているので出世したら、かなりもてるタイプだろう。
家賃が会社の独身寮なみに格安で、綾音も贅沢をするタイプではないので、月に一度ぐらい気になる映画があれば出かけて、携帯ゲームを無課金で遊ぶぐらいが趣味で生活に困ることはない。
綾音は幸せだった。
綾音は高校生の頃に両親を亡くしていた。そのため大学への進学ではなく、アルバイト先のゲーム制作会社に就職した。その頃は今のように落ち着いた気持ちで毎日を過ごすことなど想像できなかった。
不安やさびしさで押し潰されそうだった。
直樹の実家は裕福でそれなりに財産があるが、会社を直樹には継がせるつもりはないらしい。
綾音は、直樹ではなく別の男性と結婚していたらと想像してみることがあった。
もう綾音には直樹のいない人生は考えられなかった。
綾音は自覚していないが美人である。


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