性奴隷・沙夜子-1
「ガッハハハハ・・ そういうことだ、ほれ、帰った帰った!」
鬼塚は、勝ち誇ったように天を仰いで高笑いした。
「真奈美ちゃん・・ あなた、なんて純真で・・ 優しいの・・ わかったわ!」
沙夜子は、そのように真奈美が答えることを予期していた・・ いや、期待すらしていたのかもしれない。
「ちょいと、鬼塚! 交換条件といこうじゃないの。」
「あ? ・・何が?」
「この娘を私に譲りなさい。 ・・代わりに何が欲しい?」
「おいおい・・本気かよ?!」
(どうやら沙夜子は本気で真奈美に入れ込んでいるようだな・・ さて、そうくると・・ こりゃ、ひょっとするぜ・・ 滅多にないチャンスだ)
鬼塚の目尻や口元からは、じわりと邪気に満ちた怪しげな笑みがこぼれた。
「そうだな、交換条件はだな・・ クックッ、お前だ、沙夜子」
そう言うと鬼塚は、じっと沙夜子の眼を覗き込むように見つめ、彼女の反応を探った。
「本気なの・・?」
そう言いつつも、沙夜子にとっては鬼塚の返答も予測の範疇ではあった。
「フゥ・・分かったわ。 ・・で、何日間? 3日でどうかしら」
「3日だと!?」
鬼塚はさも驚いて見せた。
「3か月の間違いだろ」
今まで手が出せず指をくわえて、ただ遠巻きに眺めるしか出来なかった憧れの女だ。
その女を好きに出来るチャンスが巡ってきたのだ。
ここは駆け引きの場、そうそう引き下がるわけにいかない。
「な・・何ですって! ふっかけるのもいい加減におし!」
沙代子の口調が変わった。明らかに怒りを露にしている。
「ほお、ずいぶん高飛車だな。もともと、お前にこの娘を譲る義理なんて無いんだ。なんなら、この話は無かったことにしてもいいんだぜ?」
真奈美が鬼塚を取ると言った時点で、彼にとっては大きなアドバンテージだった。
沙代子に不利な交渉を余儀なくされる。
「足元を見るんじゃないよ・・ 一か月・・ 一か月くれてやるよ。 さあ、気が変わらないうちに決断しな!」
沙代子にとっては、非常に大きな譲歩だが、同時に大きな賭けでもある。
バナナの叩き売りのノリだ。
「一か月なんて、お話にならねえなあ。3か月と言ったら3か月だ」
いつもの短気で荒い気性は影を潜め、鬼塚は至って平静だ。場慣れしている。
二人は暫く問答を重ねたが、話は平行線を辿るのみで、いたずらに時間だけが経っていく。
・・すると突然、何処からともなく一人の男が現れた。
さっきから部屋の中で、密かに二人の会話を聞いていたのだろう、痺れを切らしたのか、多少苛立った顔つきだ。
濃い無精ひげ、あばたずらの脂ぎった顔、切れ長のたれ目、赤くニキビだらけの団子鼻、分厚い唇。
・・真奈美は、ふと、どこかで見覚えのある顔だと思った。
「やあ、お嬢ちゃん。ワシを覚えてるかね」
「あッ! あ、あなたは・・ 公園のおじさん!」
その男は、夜の公園で鬼塚に調教されている時、まぎれもなく一緒に調教に加わって真奈美を犯した人物だった。
「こ、これは支配人・・」
鬼塚がぺこりと頭を下げる。
「沙夜子くん、相変わらず綺麗でセクシーだのう・・ あんたの胸や太腿を見とると、ワシの息子も元気になって、ビンビンじゃよ・・」
「笹原・・会長!」
沙夜子の顔に困惑の色が浮かんだ。
「沙夜子くん。前も似たような状況があったな。 ・・その時には体を一か月、ワシに預けてくれたが。 今回は50日でどうかな?」
笹原は、唐突に譲歩案を提示した。
「しっ、支配人! ここは私に任せてください!」
いきなり期間を半分にされかけた鬼塚は、慌てて笹原の話を遮ろうとした。
「バカもん! 3か月の一点張りでは、交渉にならんだろう。 欲の皮突っ張ったままでは、進むものも進まんわい。 50日と言ったのは、今日から数えて、ちょうど8月の末日までということじゃ」
笹原は一喝し、鬼塚をたしなめた。
「8月末まで・・?」
鬼塚は首をかしげる。
「そう。若く血気盛んな学生達が、自由を謳歌できる夏休みの終わりまで! この間、店で働いてもらって、新規顧客を獲得してもらうという意味じゃ」
確かに、この街は一大衛星都市に数えられるだけあり、ビジネスを求めて地方から人が集まってくる。
また、有名大学も何校か有り、学生の姿も目立つ。
そして、これからの時期は、まさにそういった新規の客を呼び込む絶好のシーズンでもあるのだ。
「・・これで決定じゃな。 あと、細かい条件などは任せるぞ」
そう言い残すと、笹原は開け放しになった地下室の出入り口のドアをくぐり、出て行ってしまった。
「ふむう・・ 支配人の命令とあれば仕方ないが・・ おい、命拾いしたじゃねえか、沙夜子」
「50日ね・・ 分かったわ・・」
沙夜子は、半ば諦めたように、力なく同意した。
鬼塚は、バーのカウンターに入ると、ごそごそと引き出しから書類を引っ張り出した。
「・・ここに、契約書のひな形がある。”甲”にオレの名前、”乙”にお前の名前、”期間”に今日の日付と、”50日間”を書けば完成だ。」
そう言うと、まず鬼塚が契約書に名前と日付を記入した。
そうして、契約書を沙夜子にまわすと、乙の欄に拇印を押させた。
「さあ、声を出して読み上げろ」
「私、石神沙夜子(以降、乙と呼ぶ)は、芹沢 真奈美に代わり、2項に記載の期間、鬼塚猛(以降、甲と呼ぶ)もしくは甲が指定する代理の者の性奴隷として・・
いついかなるときも、どのような指示でも、これに従い、性処理道具として、肉便器として、身も心も捧げ、奉仕いたします・・」