不思議な告白!?-1
ある晴れた日の夕方…いつもと変わらぬ夕方……のはずだった。
「アタシ達と付き合ってくれ!」
俺、『桐生 知広』。現在、不思議な告白をされております。それは、今までモテたことの無い俺が告白をされてることでも、相手がこの学校一の天才美少女『葉月 梓』でもない。
何故、不思議なんだって?それは、
「アタシ………達!?」
そう。相手はどう見ても一人。訳が分からん!何故だ?何故一人なのに複数形なんだ?
既に頭の中は、今までに無いパニック状態。
と、とりあえずは落ち着いて、いろいろと聞かないと…
「な、何で俺のことが好きなんだ?」
「それはだな、お前に助けられたからだ。」
「あ〜!あん時の!」
そういや、階段から落ちそうだったこの娘を助けたことがあったけ。そんときはこの娘がそんな有名人だって知らなかったしな。よし、つかみはOKだ。本題にいかなければ……
「もう一つ聞きたいんだが…何故、複数形なんだ?」
すると彼女は、
「言っても信じてくれるかどうか分からないけど…実はアタシ……多重人格者なんだ!」
「…………へっ?」
ますます、分からないけど、今俺の前にいる綺麗な黒髪をポニーテールのように纏めている美少女の真っ直ぐな瞳は真剣そのものだ。けど、容易く信じられるものでは無い。
「あ、信じて無いだろう?今、他の奴に変わるからな!…………」
僅かな、沈黙の後、不意に梓が話し出した。しかし、雰囲気はさっきまでの男っぽい活発な少女ではなかった。
「あ、あのぉ…わたし、『葉月 桜』と言います。初めまして……」
「え!…梓じゃない…の?」
「いちよう、わたしはあなたの事は知っています。梓の中から見てましたから……」
顔を赤らめながら俯く、梓ではなく桜。さらに……
「初めまして。私は『葉月 梢』、よろしく。」
男っぽい活発な美少女から、おっとりとした優しげな美少女、今度は知的でクールな美少女へと雰囲気が変わる。
「本当に…本当に、多重人格?!」
「ああ、そうだ。」
常人ならば到底信じられるものでは無かったが、何故か俺はその話が本当であると思えた。。
「と言うことは、さっきの告白は…」
「そう。アタシ達全員が桐生知広、あんたのことが好きなんだ!」
ぎゅぅ……お決まりの確認方法。頬に痛みが走る。
「ええぇぇぇぇぇ!」
ヤバい!俺の脳が悲鳴をあげる。さっきより、訳分からん!学校一の天才美少女が俺の事好きで、さらにその美少女が多重人格者で、さらに、さらにその全員が俺の事好きで…………