ベッドタウン-4
「んっ…イキたい…」
素直に言ってしまった。
「どうしたら一番感じるのです？
お好きなようにしますよ。」
「え？…分かんない…」
頭の中が白くて何も思いつかなかった。
これでいて、夫には案外エッチな事を要求する方だと思ってはいる。
「じゃ、私の腰に脚を絡みつけてみて…
ゆっくりとね…そう、お互いに腰をつき寄せると…」
「あんっ…んっ…
あぁっ…あっ…ぁ…」
体を密着させたままでそうやって腰をくっつけ合ってると、しばらくして私は呆気なくイッてしまった。
いつもより長いオルガズムが膣孔を収縮させ、寄せては遠退く…
その間にも乳首を刺激されたり髪を撫でられたりする度にそれはすぐに押し寄せてくる。
… … … …
ぶぅっ！…
自分のオナラの音に私はびっくりして目を覚ました。
閉ざされた障子の向こうは既に明るくなっていて、こんなにもリラックスしてしまった私が恥ずかしい。
夫と眠るベッドの中で私は平気で寝起きにオナラをしてしまうのだった。
ご主人はまだ寝息をたてていた。
眠っているふりをしてくれているのかも知れない。
夫は奥様と今頃まだ眠っているのだろうか？
嫉妬めいた感情こそ思いあたらないけど、二人がどんな夜を過ごしたのかが気になる。
女はおそらく、そうでもないけれど男性は抱くのならばより若い女を好むものではないのだろうか？
夫から年上の女が好きという話は聞いた事がなかった。
そっと起き出して下着を着けてはみたものの、どのタイミングで帰宅してよいものなのか困ってしまう。
日曜日の朝にエプロンを着けてご主人の朝食を作るというのも何か違った感じがする。
結局、奥様から電話があって夫婦もとに戻ったのはもうお昼に近い頃だった。
それから私たちはこんなお話を耳にする。
この辺りは昔からあの神社で盛大な秋の奉納が催されて、その際にはあのお堂の中で盛大に夫婦交換が執り行われる裏の行事があるという。
そんな地域の古い風習は長い間、廃れていたものだったがここ最近になってから徐々にそれを復活させる動きがあるというのだ。
したがって、この辺りはかつて初夏に産まれた人が多くて、故に子授け家内安全の神様なのだと、これで合点がゆく。
私はそんな馬鹿馬鹿しい地域の裏行事なんかが結構好きかも知れない。
巨大なペニスを模した大木を褌姿の猛々しい男たちが奉納するといったようなどこかのお祭りに性的でなおかつ、叙情的なおかしな興奮さえ覚える。
お隣の佐々木さんがそんな事を推進しているというならば、協力したい。
ぜひ、協力してみたいとも思う。
私にはきっとこの土地の風土に引き寄せられた「縁(えにし)」のようなものが感じられてならないのだった。
ただ…
それならば、神社に願掛けした佐々木さんの娘さんはいったい誰の子なんだろう？なんて、余計な勘繰りを抑えられずにいる私だった。
ー完ー