☆-6
「で?さっさと作戦考えようぜ。終電まで時間ないぞ」
後片付けが終わった私をせかすように2本目のビールに口を付けた。
「うん。エジプト展に行ってさ。その後は?」
「え?そこまで俺が考えるの?」
「だって〜『じゃぁ』とか言って橋本さん帰りそうじゃない?」
そんな風に私が言うと、
今まで機嫌が悪かったのに、
ビールをふきだして笑いだした。
「確かに!!」
「でしょう?」
「あれって上野だっけ?動物園でも行けば?」
「動物園〜?」
「さっさと次の行動に移さないと橋本さん帰るぞ」
「そっか」
冗談なんだか、本気なんだかの計画に
笑ったり、ふてくされたりしながら
2人でデートの計画を立てた。
「お前さ。本当にデートに誘ったんだろうな?」
「え?」
「向こうはエジプト展に行くって思ってるだけじゃないだろうな?」
「・・・・」
「お前、自分からキス出来る?」
私の視線を外さずに、さっきよりも低い声で山崎が言った。
「え・・・」
「キスしないと、相手は気付かないかもな。これがデートだって」
「出来る・・・もん」
「へ〜」
「・・・・」
「じゃぁ、俺にしてみ?」
「なんで!」
「練習だよ・・・練習」
その間、ずっと私から外さなかった視線を、あわせたまま。
まるでスローモーションのように
ゆっくりと2人の唇が重なった。
「いやなら・・・・拒めよ」
そう言いながら、私の頭がぶれないように
手ですっぽりと抑え込んで
深い深いキスをする。
「ん・・・・」
「美咲」
ゆっくりと、唇を割って舌が入ってきた―――