☆-5
「え!ちゃんと食べれるレベルのモノだよ!」
「そーゆーんじゃないだろうが」
「んじゃ何よ?」
「お前さぁ。あんまり鈍感だと、犯すよ?」
「はぁ?」
なんで私が親子丼を作ると犯されなきゃいけないのよっ!
「うわ〜。いやっ。モテる男って女子全員が自分と寝たいと思ってる!」
「思ってねーよ」
「思ってるんでしょう!」
「少なくとも、お前は思ってね―だろうが」
「・・・うん」
はぁ・・・・
と、大きなため息をついた後
「とりあえず着替えてくるわ」
と、パタンと寝室のドアを閉めた。
なんだか。
なんだか、完全なルームウェアの山崎と2人で食事をするのは
変な気分だった。
ラフな格好で部屋から出てきた山崎は
冷蔵庫に行き、ビールを2本出した後
「あ・・・」と一瞬ためらった。
「お前、電車で帰れる?」
「もちろんそのつもりだけど」
「ならいいか。送るの駅まででいい?」
「うん」
と、私が答えると、
ほら。と手の中のビールを1本私にくれた。
「乾杯」
カンッと2人でコップにも移さないまま
缶のまま2人で乾杯をした。
「うまっ」
と私の作った親子丼を本当に美味しそうに食べる山崎に
「ほら。美味しいでしょ」と聞けば
一瞬私の目を見てスッとそらした。
「うん。上手い」
小さくそう言って最後まで2人とも無言でそれを食べた。