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バルディス魔淫伝
【ファンタジー 官能小説】

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拾われて飼われました 前編-15

メリル・ストリが救助された直後には考古学者としてのプライドや、若い女だからといって馬鹿にされてたまるかという意地のようなものが口調や態度にあからさまに現れていた。
ガーヴィとの淫靡な一夜のあとのメリル・ストリは意地を張らずに笑顔も見せるようになった。
「コル=スー、俺たちは街に行ってみる。みんなを頼んだぞ」
ガーヴィとセリアー二ャは酋長の家から山を下って街に行ってみた。
遠目にセリアー二ャを見る男たちの視線が、あからさまに体つきを舐めまわすような目つきである。また、ガーヴィを見る女たちも露骨に誘うように微笑みかけてくる。
また街のいたるところで昼夜関係なく、淫らな行為を行っている者たちが疲れた果てるまで荒淫に耽っているのだった。
酋長の宴よりも淫奔でえげつなく、さらに誇りや品位もない、淫蕩と背徳に街は満ちていた。
「黒猫、これでは奴が誰に憑依していてもおかしくはないな。ひどいありさまだ」
「島の民にじわじわと破滅を信じ込ませて、快楽に逃げることに溺れさせたのね」
酋長の死は呪いによるものだと信じており、さらに蛙人コル=スーが現れたので滅びの日が近いとさらに恐慌が島の民の心を蝕んでいる。
すでに誰かを贄を捧げて、自分たちだけでも生き残ろうという執着も失っても、呪いで欲情すれば近くにいる者の体を求めて快楽に耽ることに逆らえる気力がある者は、街にはいないようだった。
あと数年もすれば民の心の荒廃の果てに、この島は滅びかねないとセリアー二ャは感じた。
「島にさやかがいないかガーヴィは街中を探して歩いていたの。見つからなかったから、ほっとしていたわよ。ガーヴィはいにしえの神の呪いに、耐性があるけど、さやかは人間だから、獣族や蛙人よりも呪いには耐性がないから、ガーヴィは心配だったのね」
さやかが呪われて島の民の慰みものにされていたら、怒りに身をまかせたガーヴィは島の民たちを虐殺していたにちがいない。
リザードマンや蛙人コル=スーが島の民のように呪われないのは障気に耐性があるからだが、それはなぜなのか、セリアー二ャは考えていた。
ディルバスが召喚して皇帝となるために利用したと思われるいにしえの神は、島に障気を放つ妖魅や人が石化して死に絶えた宮殿の世界から考えて、相当な力を持つ神だとわかる。
しかし、リザードマンや蛙人を守護するいにしえの神の力にはわずかにおよばない。
わずか、というのは神格に差があるならリザードマンや蛙人を支配領域へ召喚することができないはずだからである。
セリアー二ャが信仰する女神はエアルであり、法と秩序と慈愛の女神であるが、エアルは豊穣をつかさどる地母神ジェブ=ニグラスの最後の娘という神話がある女神である。
万物の王アザトースは「無名の霧」から副王ヨグ=ソトースを、「闇」から女神ジェブ=ニグラスを、「這いずる混沌」からニャルラトホテプを生み出した。
いにしえの神は善悪や信仰する者たちの信仰心とは関係なく異世界に存在していて、契約や交渉する法術については失われたと神話ではされている。
「アザトースが眠りから覚醒すると全ての世界が消滅する。これはガーヴィから教えてもらったわよね?」
「はい」
さやかは神話と魔道の関連についてをすでにガーヴィから熱心に学んでいた。
それはガーヴィの触手の手の秘密でもあるため、さやかはガーヴィのことをもっと知りたいと思い、熱心に学んでいた。もともと成績がよく、授業に慣れている女子高校生が本気で学んでいる。ガーヴィはさやかの学ぶ姿勢や記憶力に感心してセリアー二ャに自慢することがあった。
そんな時、セリアー二ャは恋する乙女が恋人のことを知りたいと思う本気の意欲は、どんな探究心より強くても当たり前だと思い苦笑するのだった。
「蛙人コル=スーを見て島の民が怯えたのは、狂宴の王と呼ばれるいにしえの神ゴル=ゴロスの伝説と似た伝説が島には伝えられていたからよ」
ゴル=ゴロスを信仰する者たちは、舞踏と暴力と性の陶酔の中で若い娘を贄として捧げるという逸話が伝えられている。
「蛙人コル=スーやリザードマンの海賊たちは島の民たちにすれば、外界から来たもの。だから、酋長の娘たちをゴル=ゴロスに捧げたとして伝えたのよ」
「二人は神話の世界に行ってきたってことですか?」
「そういうこと」
セリアー二ャはさやかにそう言うと話を続けた。
街の人々が快楽に溺れている様子を見続けているのとあまりに露骨すぎて、さすがに、セリアー二ャも辟易した。
欲情した男たちがセリアー二ャを犯そうと手を出そうとして鬼火で撃退された。
鬼火が触れた男たちは口から泡を吹いて気絶しているが、丸出しになった性器が勃起したままなのだった。
すると、気絶した男たちを見つけて仰向けにした女性たちは、騎乗位で挿入すると、激しく腰をくねらせていた。
喘ぎ声を上げて、唇の端からよだれをたらし、無我夢中で快感を貪っていた。
「もし、さやかが街の乱痴騒ぎを見たら、性行為が嫌いになったかもしれないわ」
ガーヴィとセリアー二ャは酋長の家に戻ってきた。街の混乱した様子を姉妹は聞いて泣いた。
酋長の家が襲撃されていないが、やがて暴動で混乱した街から民がやってくるのは明らかだった。
島の民が酋長の家を襲撃に来るのと、洞窟から妖魅が這い出てくるのと、どちらが先かわからない緊迫した情況なのである。
どちらであっても島は滅びる。
「船があっても、海を渡るための操船ができるヤン・キースたちがいなければ呪いを解いても出航すれば漂流するはめになる。呪いの元の猟犬をなんとかしても心が蝕まれて壊れた島の民はもう手遅れだ。この世界から渡って脱出するしか打つ手はない」
「私は島の人たちを見捨てて逃げるわけにはいきません。スーラ、あなたは行きなさい」
姉のラーダは妹のスーラに言った。
「ラーダも一緒に……」
「だめよ。スーラをお願いします」
ラーダはガーヴィに泣きながら言った。



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