第37章 ふふふ・・・口移しで食べさせてほしいの?-1
シャワーを浴びて部屋へ戻ると、先にシャワーを浴び終えたひたぎがシーツに包まり寝息を立てていた。幼い少女のような寝顔を覗き込む。
あまりに純真な寝顔にただただ見蕩れる。先ほどまでのことが幻にしか思えない。
薔薇の香りのそよ風が、ひたぎの黒髪を揺らす。頬にこぼれた黒髪を直してみる。頬の膨らみに触れると、ひたぎがゆっくりと目を開けた。
「どれ位眠っていたのかしら?」
「30分位かな?君の寝顔に見とれていたよ」
昴が優しい笑顔で応える。
「そう・・・」
ひたぎの寝起きの瞳に、急激に精気がみなぎっていく。
「お腹がすいたわ!」
「そうだね。もう昼だ。テラスにランチの用意をさせよう」
ひたぎがドレスを纏い、薔薇園を見渡すテラスへと進み出る。水晶が忙しそうに出来立ての料理を運び、テーブルを挟んで料理を並べていく。
「昴。向かい合って座るなんて嫌よ。私の隣りにいなさい」
昴は、慌てて料理と椅子を並び替えると、椅子を引いてひたぎを座らせた。
昴がランチの説明を始める。ひたぎは嬉しそうに料理を眺めながら昴の言葉を聞いていた。そして、昴の説明が終わると優しい声で言った。
「昴。食べさせてあげる。私の足元に王子様座りで跪きなさい」
昴が、ひたぎの組んだ脚の隣りに座る。ひたぎがこれまでにない優しい笑顔で昴を見つめている。
「はい。あーん!」
昴が口を開ける。ひたぎがフォークで料理を取り、昴の口に運ぶ。そして、同時に同じものを自ら口にした。
ひたぎが味を確かめるように料理を噛み締めると、満面の笑顔を昴に向ける。昴が満面の笑顔を返す。同時に昴は、料理をほおばり、もぐもぐと口を動かす美少女が、こんなにも美しいものかと感動を覚えていた。
「昴?こんなに美しい景色が目の前にあるのに、あなたはまったく目を向けようとしないわね?」
「ひたぎの前では、咲き誇る薔薇も霞んでしまう・・・ひたぎの美しさに見蕩れていたんだよ」
ひたぎが頬を綻ばせ、次の料理を昴に食べさせる。料理を味わう間、見つめ合う。
「私のこと、好き?」
「ああ、とても好きだよ・・・ずっと、ずっと君を守りたい」
次の料理を昴に食べさせる。料理を味わい見つめ合う。
「私のどうゆうところが好き?」
「ひたぎは僕の理想の女性だ。言葉に言い尽くせない。全てが好きだよ」
「そう。嬉しいわ」
ひたぎが昴の料理を自分の口に放り込む。そして、昴の頬に両手を添えると唇を重ね、口移しでそれを食べさせた。
「どう、美味しい?」
昴が興奮を抑えられないと言わんばかりに呼吸を乱す。
「ああ・・・とても美味しいよ・・・もっと、食べさせてほしい・・・」
「ふふ・・・ふふふ・・・はい、あーん!」
ひたぎがフォークで料理を差し出す。
「ひたぎ。お願いだ。さっきみたいに・・・」
「ふふ・・・ふふふふ・・・口移しで食べさせてほしいの?」
「ああ、頼む・・・」
昴のが掠れた声で哀願する。
「ふふ・・・ふふふ・・・その方が美味しいの?」
「この世のものとは思えないほどだ。眩暈がするほどに美味くなる・・・」
「そう・・・少し噛み砕いた方が良いかしら?」
「はあ、はあ、ひたぎ、愛してる。そうして欲しい・・・」
ひたぎが昴の肉料理を口に入れ、ゆっくりとかみ締める。そして、昴の頬に手を添えて、噛み砕いた肉と肉汁を、唾液と共に昴の口へと流し込む。昴が興奮を抑えきれず激しく呼吸を乱す。
「ふふ・・・ふふふ・・・すばる、とても可愛いわよ・・・あなたを食べてしまいたいくらい・・・」
「僕もだよ。ひたぎが愛おしくて・・・もっと食べさせてもらってもいいかい?」
「いいわよ。私の可愛いすばる。食べさせてあげる」
ひたぎが肉料理を口に入れ、ゆっくりとかみ締める。そして、噛み砕いた肉と肉汁を唾液と共に昴の口へと流し込む。
「美味しい・・・まるで麻薬のようだよ・・・欲しくてたまらない」
「ふふふふ・・・可愛いわ・・・このまま、あなたを監禁してしまいたいくらい・・・もっと、食べさせてあげる」
ひたぎは飲み物を口に含み、昴に唇を重ねるとゆっくりと飲み物を流し込んでいった。そして、昴がそれを飲み込むと、そのまま舌を昴の唇へと差し入れた。
昴の舌を絡め取り激しく貪る。昴が嗚咽を漏らし悶え初めたところで、ひたぎの唇が離れて行く。ひたぎの潤んだ瞳が昴を見つめている。
「とても可愛いわよ。もっと食べさせてあげる。お肉が良いの?それとも飲み物かしら?」
昴が、興奮を抑えられない震える声で言った。
「飲み物を頼む・・・混じり気のない・・・純粋なひたぎのものがいい・・・」
「ふふ・・・ふふふ・・・こんなに美味しいお料理があるのに、私の唾液を欲しがるなんて・・・ふふ、ふふふ、本当に可愛い人・・・いいわ、飲ませてあげる・・・お口を大きく開けなさい・・・」
言い終わるとひたぎは、昴の口元に唇を寄せ、唾液をとろとろと流し込んでいった。
昴は甘い蜜を欲しがる子供のように、ひたぎの唾液を何度も請い、ひたぎはそれに応え続けた。