杏を頼む-2
「お疲れサンバ♪」
「んっ?おー有難う!」
サイコロみたいな正方形の薄暗い座敷の芳しいヒノキの臭いが漂う部屋で、白いシャツの上にゼッケンを上着し、汗を流し体温が上昇させ、ブラウンカラーに染まっているボールを元の籠へしまう東堂君の背中に、ひんやりと汗の掻いたジュースを差し出す。
彼とはこの前あれだけ口論となり、縁をぷっつりと切ったのダガ、あの時はお互い感情が高ぶりつい乱暴な言葉や行動をぶつけてしまい。
後日頭を冷やした私達はそれぞれ謝罪の言葉を述べ。
とは言えそれで両想いになった訳ではなく、彼からの告白を受ける前くらいの友好度で悪魔で友達同士くらいの関係までに戻り。
それでも態々彼の為にジュースをご馳走する何て…、私はひょっとしたら無意識の内に…
…、嫌々そんな事は…。
しっかりしろ織原杏。アンタには長谷川絆と言う恋人が居るんだ、今隣で共に歩いてる男
はただの良い友達、それ以上でもそれ以下でもない。
「まさか君がバスケ部に入るだなんてね。」
「ホントだよ、ちょっと楽しそうであいつ等の輪に入っただけで。」
「でもめっちゃ上手かったんでしょ?しかもそのままキャプテンなんて…。」
じれったい想いを吹き飛ばすように雑談へ入る。
そうだ、これでいい…妙な気は起こさんでいい。