第一話 旅立ちの日に-4
ここで時は少しだけさかのぼる。
王の間から解散したあと、サイトだけが1人ある研究室に呼ばれていた。
ドクターマルコ「よくきた勇者よ。わしは長年魔王の研究をしておる。おまえに話しておかなければならないことがあるのだ。」
サイト「なんだよ、これから魔王討伐にむかおうってときに、そんな大事な話なのか。」
マルコ「うむ。そうじゃ、この話を聞かねば魔王は倒せん。」
サイト「なんだって!」
マルコ「魔王はな、不死身なのじゃ。いくら傷つけても即座に回復してしまう。首を切り落としてもじゃ。そうでなくても最強の強さをもっておるのに その上不死身なのじゃ。ちなみに魔王の戦闘力は6000。1000年前の勇者達も強力でのう、6000以上の戦闘力をもつものも何人かおったが、 その不死身さの前に何人もが倒れた。そして最終的に5人になってしまったのじゃ。」
サイト「おいおい、そんなやつどうやって倒すんだ。」
マルコ「魔王の不死身を無効化する魔法を使う魔法使いが現れたのじゃ。伝説の魔法使いと呼ばれておる。」
サイト「じゃあその魔法使いを仲間にすればいいのか?」
マルコ「ダメじゃ。魔法使い自体滅んでしまって今では存在せん。」
サイト「そんな、じゃあ勝てねえってのかよ。」
マルコ「じゃが安心せい、魔法と同じ効果をもつマジックアイテムが受け継がれておる。これがそうじゃ。じゃが使い方に少々難があってな。」
サイト「うんうん」
マルコ「魔王の背中にはクボミがある。それはその伝説の魔法使いが魔法によってつけたクボミじゃ。そのクボミにこのマジックアイテムをセットして、 このボタンを押せば、魔法が発動して魔王を完全消滅させることができるのじゃ。」
サイト「なんだってえ、そんな簡単な方法があるならなぜ当時やらなかったんだよ!」
マルコ「うむ、その魔法使いは魔王の背中にクボミをつけたあと魔王に瞬殺されてしもうたのじゃ。簡単に説明すると、こうじゃ、魔王不死身、勇者達死んでいく、 魔法使い現る、魔王の不死身打ち消す魔法使う、魔法使い魔法で魔王にクボミつける、魔法使い殺される、勇者達が魔王の不死身がきいている間に魔王を倒す。じゃ。」
サイト「なんだか魔法使い無駄死にしたみたいじゃねえか。」
マルコ「そうでもないわい。実際勇者達も満身創痍だったようだしな。どっちが勝っていたかわからん。魔法使いが命をかけて後世に魔王を倒す方法を残したのじゃ。」
サイト「なるほどな。たしかにそのおかげでこの時代にも魔王を倒す手段が残っているってわけか。」
マルコ「ただし言ったように魔王は不死身がなくとも強い、身体は鋼鉄のように硬く、そして素早く攻撃をあてられん。このマジックアイテムをクボミにセットしている 余裕などないじゃろう。アイテムを使うのは魔王を十分に消耗させて、動けなくしてからじゃ。十分に消耗させれば、魔王も回復のために動きをとめるはずじゃからな。」
サイト「へえ、戦いながら回復はできないのか。完全無欠ってわけでもないんだな。」
マルコ「ああ、じゃが今の勇者達の実力は1000年前の勇者達の実力に及ばんじゃろう。戦いの中で多少は成長するじゃろうがな。くれぐれも気をつけるようにな。」
そうしてサイトは魔王を倒す切り札のマジックアイテムを受け取った。だが、一番最初に死んでしまいそうなのがサイトだとは、マルコは夢にも思っていなかった。」
マルコ「ふう、なかなか物分りのいいやつじゃったな、さすが王様がリーダーに任命するだけのことはある。」
そうして人類の命運をかけた戦いは始まった