僕をソノ気にさせる-49
「ずっと……、してて」
「何？」
「チューだよ。……いちいち聞かないで」
「うん」
「しながら、ね？」
唇に優也の舌の柔らかみを絶えず感じ、指先がしっとりと周囲を濡らした入口に添えられただけで、杏奈は奥から新たな雫を迸らせていた。指先がゆっくりと、杏奈を伺うように入ってくる。
「痛く……、ない？」
「うん、もっと……」
優也が杏奈を抱きしめ、唇を塞ぎつつ、奥まで指を進めると、杏奈の体が大きくのけぞった。
「すごい、……先生の、……動いてる」
「だから、そんなの言っちゃだめ……、っ……、だってば」
「……気持ちいい？」
「んんっ……！ ……うんっ……。もっと強くしていいっ……」
腰が止まらなかった。優也の指の動きに合わせて、足を付いて腰をベッドから浮かせて迎えに行っていた。脚の間から水撥ねの音が聞こえる。優也を思って自分でしたときよりも遥かに心地よい、爆ぜるような感覚に、杏奈は声を漏らし続けていた。このまま果ててしまう、そう思った時、優也の指が突然抜き去られて、脚の間に体を擦り寄せてきた。
「先生……」
薄目で見上げると、食が細い痩身を膝立ちにして、優也が泣き出しそうな顔で見下ろしていた。その手前に色白で未熟な形をした、苦しげに脈打つ幹が動いていた。
「うん……」
上体を起こして後ろに肘をつき、踵を付いて優也の前で大きく脚を開く。優也と結ばれるその時を見届けるのを顔面に垂れて妨げる髪を、頭を揺すって肩の後ろに排した。優也は慎重に根元を持つと、倒された先端を杏奈の入口にあてがって来る。なかなか角度が定まらない。しかもその間にも先端は、麗おしい杏奈の柔らかい花唇に擦れてしまった。
「んあっ」
無念で恍惚とした声を上げて、優也は再び畢竟の証を飛ばしてしまった。今度は衣服越しではなく、熱い飛沫を直接体に浴びて、杏奈もまた甘く高い声を上げて愉悦に身を震わせる。
「……あぁ……、ん……。ごめ、ごめん……。先生……、ごめん……」
半身を起こし、遂げれなかったことを頻りに謝る優也に手を伸ばして頭を何度も撫でたあと、引き寄せて時間をかけたキスをした。杏奈は優也をそのまま仰向けへと導いた。そして優也の顔を跨ぐ。目の前には放出してもまだ自分を恋がれる幹が勃っていた。根元に手を添えて真上を向かせると、漏らしたばかりの先端へ濃密に唇を押し付け、じっくりと口内へ含んでいった。優也の大腿筋に力が入り、足の指が反るのが見えた。杏奈は頭を上下させ、舌から唾液を滴らせて優也を鼓舞する。下半身の溶けるような快感に、考えることもできなかった優也だったが、頭上に先ほど進入を遂げられなかった愛しい花唇が優しく誘っていることに気づくと、首を伸ばして唇を合わせていった。
「んんっ！」
杏奈は口に含んだまま腰を震わせ、優也の鼻先と舌に下腹を押し付けていった。舌がなかなか及んでこない、敏感になった雛先も腰を使ってずらして彼へ押し付け、出てすぐのところに優也の顔があると知りながら夥しい蜜を溢れさせた。
優也を含みながら、ふと目線を上げると部屋のドアが見えた。家の中には智樹がいる。ドアのすぐ向こうでこちらを伺っているかもしれない。だがそんな空想でも杏奈を制止できなかった。躊躇うことなく、音を立てて根元から先端へと何度も舐め上げる。
「んあっ、はっ……。せ、先生……。もう一回……」
脚の間から優也の呻きが聞こえた。杏奈は反転し、膝立ちで優也の腰を跨いだ。見下ろす杏奈に引き寄せられて、優也が上体を起こす。幹に手を添えて上を向かせ、そこへ下腹部を下ろして当てがうと、先端に触れる温かい柔らかさに、優也が女の子のような声で溜息を漏らし、狂おしく杏奈を抱きしめてきた。衣服を脱いですぐの抱き合った時よりも二人の肌は汗ばんでいたが、湿気が擦れ合う感覚は、求めるべくして求め合っている証明であったから、不快さは微塵もなく、むしろお互いを急かした。
杏奈がゆっくり腰を落としていくと、優也の先端が入口を押し広げてきた。途中から手を離して優也の肩に掴まり、腰を完全に下ろすと、彼の先端が胎の奥を押し上げてきて、杏奈は背を反らして天を仰いで、今日一番の大きな声を放った。
「うあっ……。先生っ……」
「ん……。優くん、気持ちいい？」
少しだけ前後に腰を揺すっただけでも、幹が自分を擦ってくる芳烈な快感に全身が蕩けていく。
「うん、すごい……。先生っ、好きだよ……、大好きだよ」
杏奈の言ったとおり、何度も好きだと言い、ずっとキスをしてくれる。
背筋を伸ばして、腰だけを揺する杏奈の動きに合わせ、そのか細い腰を抱きしめた優也も動かずにはいられなかった。杏奈と擦れる度に、想像していた感触よりもずっと心地よい杏奈の襞壁に頭がおかしくなりそうだった。