『雨が止まない』-1
あの日も雨が降っていた
間違いなく、降っていた
雨が止まない
今も忘れないあの日
鮮やかすぎる記憶
この季節が来る度に思い出す
生温い空気を切り裂く、この季節には似合わない冷たい雨が刺さるように痛かった
そして、今年も。
私のこの塞がらない傷を抉り、
そして、去っていく
やがて夏を呼ぶ
ねえ
またこの季節が来たよ
私はまだ
どうにか生きてるよ
あれからいろんなことがあって、ずいぶんと時は流れたようだけど
それでもやっぱりこの痛みは止まないし、涙が流れてしまう夜もある
でも、
ひとつだけ。
分かったんだ
忘れられないのは辛いけれど、忘れてしまうのはもっと、
つらい。
こわい。 ってこと