(その1)-3
…いっ、いや…恥ずかしいわ、先生…やっ、やめてください…
どこからこんな声が出るのか、自分でも不思議だった。先生役の男が私の太腿のあいだに頬を
擦りつける。唇が薄いパンティの上からあそこの陰毛をくすぐり、嫌らしく愛撫を繰り返す。
イチムラが抱えたカメラがじっと私のあそこをとらえると、私は自分でも恥ずかしくなるよう
な喘ぎ声をあげ、腰を微かによじる。高校時代は演劇部にいたが、三年生のときに「あのこと」
があったことで学校を中退し、家を出て上京した。仕事をしながら俳優養成の夜間学校に通っ
たが、お金がなくて半年でやめた。
…あっ、ううっーん、はぁううっ…
別に男の唇で感じているわけでもないのに、カメラが向けられるとなぜか変な気分になるのだ。
いいね、いいよ。とてもいい声じゃないの…と、髭のイチムラが興奮したように言う。この歳
になってセーラー服のお尻が見えそうなくらい短いスカートからピンクのパンティなんて彼ら
の前に晒すとやっぱり恥ずかしい。
とても二十四歳には見えないよ。キュートな感じがとてもいいね、と言いながら撮影が始まる
前に、相手役の中年の男が私の腰に手を触れたとき、背筋に虫酸が走るくらい気持ち悪くなっ
た。やめておけばよかったかな…なんて、ちょっぴり後悔する。やっぱり二十四歳の女子高生
役の自分に無理があると思っているし、もともと少女っぽく見られる自分が嫌なときもある。
胸元が乱れたセーラー服から乳首が覗き、たくしあげられた紺色のスカートから白い太腿が
露わになっているのに微かな羞恥さえ感じるのは役柄に対する年齢のせいなのだ。
撮影は廃屋になった雑居ビルの地下室で、学校の体育倉庫らしく撮影用の小道具もセットもし
てあった。相手役の中年男が、ズボンのファスナーをゆっくり降ろし、ズボンを脱ぎ捨てる。
赤縞の派手なトランクスの中央の部分が、すでにこんもりと盛り上がっていた。彼は、地面に
仰臥させられ、乱れたセーラー服姿の私を見下ろす。そして、私のからだの隅々まで食い入る
ように凝視し、ごくりと咽喉を鳴らすように唾を飲み込んだ。声はふつうにいいからね。カメ
ラを覗いているイチムラが煙草を咥えたまま黄色い声をあげる。あらかじめ打ち合わせたどお
りのよがり声と仕草を見せる。
中年の男がトランクスをゆっくりと脱ぐと、すでに湿り気を含んだ赤黒いペニスが、灯りに照
らされ、奇妙な生きもののようにそそり立っている。粘った汁をまぶしたように濡れた亀頭が
いやらしい淫靡な光沢を放っていた。私という女に勃起しているのか、カメラの前だから勃起
しているのか、よくわからない。でも、どんな場面でもどんな場所でもすぐに勃起できる男に
変に感心する。
ノリちゃん、男のものを咥えるのは慣れていると思うけど、女子高生らしく初体験って感じで、
可愛く恥じらうようにやってね、なんていうイチムラの声に私はムッとする。どうして私が慣
れているなんてわかるのよ。それにノリちゃんなんて馴れ馴れしく呼ばないで欲しいわ。